語り合うメンバー3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

S ドラマの主人公のようにアルバイトをしたことはありますか?
O 大学生の時、回転寿司屋の料理運びのアルバイトをしていました。チビ券という、切符ほどの小さな紙に薄くテーブル番号と注文商品が印字されたものがあって。オーダーがどんどん入るともう大変なんです(笑) 。焦るし、チビ券は見えなくなるし…。協力してくれる同僚は増えてはいったんですが、大変でしたね。
M わたしは短大に通っていて忙しく、あまりアルバイトはできなかったんですが、今の仕事に就くまでに接客業をしたことがあります。
S 働くうえで工夫してもらったことはありましたか?
O オーダーを打つ機械のハンディは、もう見えなかったので、注文を受けたら紙に書いて、ほかの従業員に頼めばいいト言われて。レジも打っていませんでした。そういったところを工夫していただいていました。
M 見えにくさで、やりづらいことがたくさんあって。でもその時の店長と副店長がとても理解のある方で、どういう障害かも伝えていなかったけど、『あんたは見えにくいんやから、1個1個ちゃんと確認しいや!』と愛のムチで!(笑)。社会人としても鍛えてもらったし、5年半も働けました。でもどんどん視野が狭くなってきて続けることが難しくなってしまい。『なんとか続ける方法はないんか?』と言ってくださったんですけどね。いろいろ経験させていただいて本当に感謝しています。
S 想像していた学校生活とは違いました。盲学校ではなく、一般の学校に通われていたんですね。自分以外に弱視の生徒はいましたか?
O 私が知る限りいませんでした。昔は白杖を持つ学生がいたとかで、校内に点字ブロックはありましたよ。外観のきれいなレンガ作りの校舎だったので、階段などがすべて同じ茶色だったので少し歩きにくかったですね(笑)。その後は少し改善されて、階段に色が付けられたりと歩きやすくなりました。担任の先生や周りの人には自分の眼のことは言いにくかったんですが、日常であまり関わらない先生には相談しやすかったです。
M わかります!わたしが家族に話せていない理由もそれです。関係が近いほうが言いにくい。
O 家族は、特に母親は、病気のことを自分のせいだと思ってしまうようで。だからこそ絶対に言いたくなかったですね。眼科で悪化したと言われても、何も変わりなかったと報告していました。
ただ、カミングアウトしても意外と周りは「へー」という感じで受け止めてくださるんですけどね(笑)。今考えると、自分で壁を作ってしまっていたのかもしれないです。
M タイミングも難しいですよね。友達3人にカミングアウトした時も、待ち合わせ場所にいきなり白杖を持って現れたんです(笑)。びっくりしてる子もいましたけど、みんな驚くほど普通に接してくれて。
気遣ってくれるももちろん嬉しいけど、普通に接ししてくれるのもありがたいなーと思いましたね。
O 興味を持ってくれるのも嬉しいです。
M うんうん、白杖とか結構興味持ってくれますよね。
O 変に気を使われるより全然いいです。
M 「大変やなー」とか、「こんなんできひんやろ?」とか言われてしまうこともあります。
そんなことないんだけどな、と思ったりすることもあるけど。
O 一線引かれるよりは、一線越えてきてくれるほうが嬉しいですね。
S ドラマでは描けないようなことまで聞けて本当に参考になりました。
ありがとうございました。
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