緊急事態宣言中

出勤途中。パッカー車の後ろに二人、ごみ収集のお兄さん。ごみをパッカー車に放り込み、作業が完了すると「オーイ!」か「OK!」か、そのような感じで合図する。その合図で、中にいる運転手さんは次にごみが置いてある地点まで車を走らせるのだ。緊急事態宣言中でも、ごみ収集は変わらずやってきてくれる。心の中で「ありがとうございます~」と思いながら、その隣を自転車で通り過ぎようとする私。瞬間、ごみ収集のお兄さんが「チャーリー!」と声を発した。ん? チャーリー? …チャリ??その時に通過したのは私しかいない。てことは? 私のことか!パッカー車は放り込んだごみを自動的に車の荷箱に押し込むため、稼働中はガーッという音がする。その音にも負けないぐらいの声量で合図しないと、運転手さんには聞こえない。「チャーリー!」はあくまで、隣を通過する自転車がいるぞ、発車する時は気をつけろ、という合図なのだが、「自転車!」と言われるよりも何か外国人のお名前っぽく、ある種の格好良さと、ほんの少しの恥ずかしさも覚える朝だった。(自意識過剰?)

ある休日。京都市図書館へ、予約していた本を借りに行った。緊急事態宣言中は、館内での閲覧が一切できない。私が行った図書館は、書架を封鎖するバリケードよろしくテーブルが置かれており、カウンターのみひっそりと明かりがついていた。基本的には私のように、予約した本の貸出や返却が目的だと思われるので、来館者もまばら。図書館の外では緊急事態宣言時の対応をご存じなかった様子の親子が「(図書館の)中で本、読まれへんねんてー」。物理的にも本の閲覧ができないとはいえ、ここまで閑散とするものか。しかしそれは、みんながルールに従い、行動をセーブしている証だと感じた。

先日、利用者さんの中にも「緊急事態宣言やから、『音の文庫』ばっかり聴いてるわ~」というお声があった。京都市図書館の「音の文庫」。当館へお電話一本いただくだけで予約が可能。クラシック、ジャズ、演歌、J-POP、演芸・落語、お子さん向けなど、ジャンルも幅広く揃えておられます。京都市内在住・在学・在勤のかたは、ぜひご利用ください。この号が出る頃には、緊急事態宣言の効果が表れていることを願いつつ…。

(はなのぼう6月号より)