二年目

情報ステーション所長を拝命し、はや一年。新人職員の入職、コロナ関連の対応、二度の緊急事態宣言、職員の退職、また新たに入職。もちろんこの間、私自身の新たな業務も覚えていかなければならない。迷惑を承知で周りの職員に何度も何度も聞きまくる日々。世の中に比べたら取るに足らない程度だが、私にとっては激動の一年が経とうとしている(3月18日現在)。

一年前の今頃は未知のウイルスに対し、ただひたすらに自衛策を講じていた。カウンターや読み書きサービスの部屋に貼っているビニールカーテンを設置したのもこの頃。体温の確認もアルコール消毒も来館者記録票の記録も、今や常態化した。

不謹慎かも知れないが、コロナ禍でも唯一「いいなぁ」と思えることがある。それは「声掛け」だ。たとえば、現在は予約制でご利用いただいている読み書きサービス。ご利用前には先述の体温の確認などもあるので、カウンターで必ず「こんにちはー」「○時からの読み書き、お願いしまーす」といった感じのやり取りがある。またご利用後には「読み書き、終わりました」「ありがとうございましたー」といった具合にお知らせいただけるので、私たちもすぐに消毒に向かうことができる。安全第一!が目的ではあるものの「ご利用前後にはお声掛けください」というルールにご協力いただけていることが本当にありがたく、何よりこのやり取りが心地よい。実はコロナ以前は、読み書きサービスの部屋までそのままスーッと向かわれ、気付けばいつの間にかお帰りになっていた、なんていうことがわりとよくあった。

「福祉は人なり」。一年前に、このコーナーで語ったことだ。声掛けやあいさつは、ちょっとしたことかもしれないが、何気に互いを思いやるこの行為は今後も終わることはない。この信念だけは曲げぬまま、二年目へと突入する。

(はなのぼう4月号より)