小学4年生の時、イジメを受けました。級友からではなく、担任教師から。無視される、ほかの子と同じことをしてもしなくても私だけ怒られる、そんなことが続き、最初は自分に非があるのかと考えましたが、やがて悪意を確信。登校できなくなりました。

不登校3日目の朝。さすがに母はごまかせず、理由を話しました。黙って聞いていた母は一言「とにかく今日は学校に行け」。仕方なく登校。しかし担任は相変わらず。明日から絶対に来ないぞと決めていた放課後間近、「五十嵐、後で先生のところに来い」と告げられ、また何か言われるのかと暗澹たる気持ちで職員室に向かいました。

「お母さんが昼に来られて、『子どもが学校に行くのを嫌がっています。事情を聴いてやってもらえませんか?』と頼まれた。何かあったのか?」。満面の笑顔で優しく聴いてくる担任。(えっ、来たのか。でも先生がイヤだから)など言える訳もなく黙って下を向いていると「今でなくてもいい。いつでも話しに来なさい」。以来一転、過剰なまでの気遣いが始まりました。

事を荒立てないよう上手く担任の懐に入り私を守ってくれた母の賢明さ・強さを思い出す出来事です。既に鬼籍に入りこの2月で8年を迎えますが、今でも対人関係に迷った時など、今の私の半分の年齢だった若き母に教えを請いたくなります。
(五十嵐 幸夫)