「私、『丙午(ひのえうま)』の生まれやねん」「やから、男を食うねーん」
たしか中学生の頃、毎年一緒にキャンプに行っていた先輩はそんなことを語っていました。当時はなんのこっちゃと思っていましたが、今年は60年に一度、1966年以来の「丙午」の年だとか…。

そもそも「丙午の女性は恐ろしい」という説は、江戸時代に実際にあった八百屋の娘・お七が起こした放火事件が元となっており、そのお七がたまたま丙午の生まれだったというだけのこと。以前吉祥寺に避難した時のような火事騒ぎがあったら、恋人に会えるのでは… と思ったが最後、という話。しかし実際には、お七が丙午の生まれかどうかも定かではありません。つまり迷信です。ただ、それから300年経ってもその説が信じられていたであろうことが、人口動態調査にも表れているのが興味深いところ(出典:政府統計の総合窓口《e-Stat》)。1966年は前後の年に比べて出生数が約50万人も少なく、合計特殊出生率も前後の年は2を超えていますが、この年は1.58とカクンとへこんでいます。
ちなみに冒頭の先輩は、丙午生まれだったがために男性に縁がなかったかといえばむしろその逆。同い年の男性と結ばれてお子さんにも恵まれ、何年か前の年賀状ではお孫さんも誕生、と書かれていました。めでたしめでたし。

最後に、丙午=恐ろしい女性 という印象を植え付けた物語は、井原西鶴の「好色五人女」が代表的。当館では点字で所蔵しています。音声デイジーは、西鶴の作品を大胆に新解釈した周防柳の「うきよの恋花」などがあります。また、京都市に在住・在勤・在学の方は京都市図書館の音の文庫で、坂本冬美の「夜桜お七」をどうぞ。

本年が、皆さまにとってさらなる新たな知識や楽しみと出会い、未来へ駆け出す一年となりますことを願っております。万事「ウマ」くいきますように。

(はなのぼう1月号より)