サザンカが風に散っています。それを見送るようにツバキが咲き始めました。お正月の頃に見られる開花のつながり。
この二つの花は古来から、冬枯れの日本の景色に色をつけてくれています。

サザンカとツバキ。どちらも日本原産で同じ仲間。姿も似ています。でも、咲く時期と散り際は大きく異なります。
サザンカは冬に向かう頃、ツバキは春に向かう頃に咲き、サザンカは花びらを順に散らし、ツバキは花ごと落下します。

冬の寒さに耐えて咲く花にはどこか人生を重ねてしまうところがあります。ただ、自然界に人が想うロマンなど存在しません。
すべて植物はサバイバル戦略のみで生きており、咲くのも散るのもこれにつきます。

さて2020年。気温や日差しの変化で生命サイクルが動く植物にとって、暦の区切りなどなんの意味もないでしょう。
でも、暦の区切りで気持ちを新たにできる我々。これが実は、人が人として生きていくための戦略なのかもしれません。

(五十嵐 幸夫)