フレディ・マーキュリー。エイズに感染し45才でこの世を去ったイギリスのロックバンド、クイーンのボーカリスト。その彼の生き様を映し出し話題となっている映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観てきました。

ストーリー自体は、彼の出自や性的指向、取り巻き連中に利用されたことなどよく知られたエピソードを中心に進行しますが、そのテンポの良さと流れるヒット曲、そしてフレディをはじめバンドメンバーを演じる役者達の迫真のライブシーンは本物降臨感にあふれ、この映画の真骨頂が伝わります。

クイーンの人気が日本でも高まった1970年代後半頃といえば、私はリクルート活動の真っ最中。髪を切り着慣れぬスーツ姿で企業訪問の日々を送っていました。職に就く段になってようやく自分の能力や評価を思い知り、世の中の仕組みに気づかされた記憶がよみがえります。

フレディは自分の思い通りの曲を作ろうとクイーンを一度離れます。しかし自分に唯々諾々のスタッフばかりでは、結局いい作品ができないことに気づきます。圧巻のライブシーンよりもこうしたシーンに心が動かされるのは、あれから40年以上の時が流れ、私も少しは大人になれたからでしょうか。

(五十嵐 幸夫)