9月15~16日、神戸にて「第27回視覚障害リハビリテーション研究発表大会」が開かれ、鳥居寮からは2点の発表を行いました。

研究口頭発表「主体的視覚リハビリテーションを目指して~文章講座の試み~」では、2016年度から週1回開催している訓練科目「文章講座」の目的と結果・考察について、事例と参加者のコメントを用いて発表しました。文章作成とグループセッションは自己受容の一助として有益であり、積極的課題提案や目標設定にもつながっていることから主体的視覚リハビリテーションの実践につながる取組みであることを伝えました。訓練修了者座談ヒアリングにてまとめた「心と技術で歩く今に」寄せられたエピソードや、主体的リハビリテーションの肝要さを訓練生自身が求めていることを伝え、フロアとともに考える提案をしました。発表後、数名の支援者から詳細を知りたい、自分も取り組みたいなどの質問や感想も届きました。

口頭発表する職員
(ステージ上の演台前に立ち、口頭発表する職員。後ろには大きなスクリーン)

もう1点はポスター発表「京都府南部地域における地域拠点(サテライト)の実践」です。2012年から地域の皆さんが参加しやすい場所で月に1回「サテライト」という名称の集まりを開催し、視覚リハ訓練・相談支援・情報提供・交流企画を実施してきました。6年間で246回開催、のべ参加人数は2482人。この活動の積み重ねが地域常設拠点設置の機運を高め、南部アイセンター(城陽市)の開設につながりました。いまやサテライトは、地域の皆さんが同じ地域に住む仲間とともに楽しんだり、悩みを相談できる交流の場であり、当事者が当事者を支えるピアサポーターになることが自らの喜びにつながったり、訓練修了者が地域で活躍できる場になりました。ポスターセッションでは、全国の医療関係者や支援者の皆さんから積極的な質問があり、地域拠点の必要性の高さを共有できました。

ポスターを前にして発表者2人
(ポスターを前にして発表者2人)

この大会では、見えにくさを持って移動するにあたり基本的な歩行訓練の重要性や最新システムの紹介、自動運転の国内状況報告の他、機器展示、落語会やファッションショー、神戸アイセンターで行われるさまざまなワークショップもあり、大変盛りだくさんの内容でした。

複製ヴィーナス像の唇にふれる視覚障害のある参加者
(会場に設置された複製ヴィーナス像の唇にふれる視覚障害のある参加者)

(鳥居寮 京極裕子)