眼科カウンセラーの田中 桂子(たなか けいこ)氏を講師にお迎えし、ストレスケア講座を実施しました。ストレスがキーワードの講座ということで関心が高く、女性12名、男性10名が参加されました。前半は座学、後半はグループに分かれて交流しました。いろんな心模様の方が受講されるということで、多岐にわたる小ネタを田中さんにご準備いただき、ストレスケアについて考える時間を持ちました。

自分の心のお疲れ度チェック

20の質問に対する○(まる)の数でストレス度を判断します。それぞれの段階に応じたアドバイスがありました。

体調管理のポイント

自分の調子の良い状態をベースに、現状を把握することが大事だと学びました。

睡眠について

基本7時間が理想ではあるけれど、日中眠くないなら問題はないこと。一度目が覚めても再度眠れれば問題ないこと。過眠でいくら寝ても足りないというのはやや問題。

わかってもらうための効果ある努力の一例

「啐啄同時(そつたくどうじ)」という言葉を学びました。禅宗では、機を得て学ぶ者とその師との両者の心が一致することにたとえられ、また、のがしてはならない良い時機という意味にも用いているそうです。ひなが卵の中からつつき、親鳥は温める、どちらも同時。思いが同時であってこそ、物事が成せる、大事なことは、つついた瞬間をのがさないという万全の体制で温め続けることだそうです。対人関係、支援の中でも活用できる考え方としてご提案いただきました。

依存症について

最近増えつつあるのはネット依存。アルコール、食べ物、買い物、ギャンブルなど、一日中そのことばかり考えていて、経済バランスをくずす状態になったり、日常生活に著しく問題が出ていれば依存症と言えるそうです。

語ること・書くことについて

語ること、聴くこと、書くこと、読むこと、その特徴について事例を用いてお話いただきました。語ることとは、直接その場の温度を受け、そこから何かを自分が感じる体験。書くこととは、自分を整理することができる。言葉で言われると抵抗が生まれるが、文字が語るものは需要しやすい。

家族の心模様について

特に中途失明、ロービジョンの方は、自分の状況が伝わる、伝えることに困難がある。家族は無言のコミュニケーションが多いので、ほんのわずかでも声に出すことを心がける。声に出すコミュニケーションを家族側に求めることも必要。
以上、たくさんのエッセンスが入った講座となりました。

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(講師の話を聴く利用者さんたち)

後半は3つのグループに分かれてのフリートークとなりました。職員4名もグループに加わり、思いを出し合いました。

これから見えなくなる不安、お疲れ度チェックが危険信号だった、私って依存症かも、買い物依存の経験、自己否定やイライラポイント、落ち込むとどうにもならないなど、率直な言葉がたくさん出てきました。しんどい気持ちに対して励ましの言葉もありました。睡眠前に温かいミルクを飲むことは取り入れたい、ストレス発散法のシェアなど前向きな声もありました。

日ごろフランクに交流されている方も、なかなか自分から話かけることが苦手な方もおられます。ストレスケアという共通テーマで考え、交流する機会を持つことで、ほんのわずかでも自分の心の中の小さなストレスキーワードを出せる時間をつくることができました。今後も皆さんの知りたいテーマを拝聴し、講座を企画していきたいと思います。

(鳥居寮 石川 佳子)