「今出川通を境に天気が変わる」と京都ではよくいわれます。京都ライトハウスに赴任して2年。特に冬、千本通りを北上する通勤途上で、今出川通を過ぎると雪がちらつき始め北大路通では既に積もっているということが何度かあり、まさにこれを実体験しました。

国土地理院のデータによれば京都市は、府庁付近が標高47メートル。北緯34度から35度に変わるラインとなっています。市内の地形は南北で高低差が大きく、府庁より北にある今出川通を過ぎれば標高も上がりまた山が迫ってくる地形などの影響を受けて空気が変わり、こうした気象現象がおきるのかも知れません。

このような事例は各地にあるようで、東京でも「じ」を越えると寒くなるといわれ、高円寺・吉祥寺・国分寺・八王子がその境目といわれています。ただ広い範囲ならばともかく、狭い京都盆地の中で通り一つを隔てて劇的に天気が変わるなどあり得ないと思いつつ、実際に体験すると、これも京都の不思議の一つと感じます。

京都を語る本はたくさんあります。市内の図書館にも必ず京都コーナーが設けられ、かなりの冊数の図書が収められています。情報ステーションも数々所蔵しています。京都の謎の一つとして何かの本で扱われているかも知れません。一度調べてみるのも面白い気がします。
もっとも、千本今出川の辻にある見事な桜が咲き始める頃には、そんな不思議への興味などなくしていることでしょう。
春は、冬にあったことなどすっかり忘れる季節ですから。

(五十嵐 幸夫)