※同じ視覚障害をもつライトハウス職員が、視覚障害をもつ方々の「生の声」を、お伝えしていくこのコーナー。第10回目は、京都府南部、京田辺市で地域での活動に積極的に関わっておられる川島隆夫さんの第2回目です。さーて今回はどんな話になっていくのか?

久保 実際に南部サテライト事業に参加しておられる中で、今気がかりなことがありますか?
川島 サテライト事業は、3ケ所で月1回開催されています。利用者は、白杖やパソコン、PTR2の操作など、毎月参加して一生懸命頑張っておられます。毎回多くのボランティアのサポートもいただいており、感謝しています。一方、「パソコンはもう無理です。」「話したかったが、私がはいる雰囲気ではない。」など、1回きりで次はこない方もおられます。本来なら、そのような方にも、個別に手厚いフォローができればいいのですが、スタッフもそこまで手が回りません。また、どう新しい方に拡げていくかも課題です。2015年度に「南部拠点」(仮称)として、常設の場所を毎日設けるわけです。「1回きりで、もう来ない」ことのないように、いわゆる訓練以外にも、その方のニーズや思いにあった受け皿を準備して、いつでも来ていただける雰囲気作りが大切と思っています。
 相談・白杖の使い方やパソコンの練習・クラブ活動及び講演会などを4本柱としていて、皆さんが参加して、行事を企画していただくようお願いしています。同時に、今申し上げたように、いろんなことを話せる場になるか、そのような方の話を少しでも傾聴してくださる方が集まってもらえるか、そのあたりが大きなカギだと思います。
久保 そうですよね、そんな雰囲気があってこそ、それでは今の自分でできることはないだろうか、他の皆ができていることを、自分もやってみようかな、なんて前向きな思いももてますからね。
川島 そうなんです。繰り返しで恐縮ですが、初めは、お茶でも飲みながら、誰かと話すということだけでも、次につながるきっかけなんだと思います。特に視覚に障害があるため、引きこもりがちな方に家から出てもらい、最初はぼやき合うことから始めていただく、そして「笑い合える居場所」にしていただきたいと思います。仲間同士が知り合え、つながれるライトハウスのような場所をめざしたいものです。
久保 皆が集まってくる場所の存在って大切ですもんね。こんな風に、京都府南部での取り組みをされて、そしてその中で多くの仲間との出会いもあったかと思いますが、今でも今後視力が更に低下していくんではないかという不安は強いですか。
川島 もっと悪化して視力を全く失う可能性も高く、主治医からはくれぐれも無理しないよう指導されています。仲間の皆様からも、無理しないでねとか、一番困るのは奥さんだからねとお気遣いいただいています。自分でも「全く見えなくなったら、どうやって生きていけばいいのだろうか」という不安は、いつもあります。特に、女性の方はすごいなと思います。全く見えなくなっても、今まで通り、包丁を使って料理する、洗濯するなど、家事をこなしておられる方も多い。頭が下がります。では実際、自分自身はどうだろう?今と同じように過ごせるか、そんな気構えは全くない。動揺し、家族に当たり散らし、外出しないで閉じこもったままでいると思う。だから、私自身が「南部拠点」で、仲間から学び元気をいただきたいと思っています。今は、拠点づくりで忙しくしていますが、休養第一にしています。
久保 新しい「南部拠点」が、そのような場所になっていくためには、今何が必要なんでしょうかね。
川島 オープン予定まで半年をきった今、しっかり準備することが大切です。新しい場所で何を行うのか、気軽に来て、パソコンやPTR2の操作法を個別にその方のペースにあわせてゆったり教えてもらえたり、相談員が定期的に相談に応じていただく、趣味のクラブ活動など、早く計画を固めて広く周知する必要があります。京都府内の視覚障害当事者の団体である京都府視覚障害者協会の会員さんへは会の広報誌である「点字京都」や役員会を通じてお知らせできますが、9割を占める非会員の方には、行政に広報をお願いするしかありません。9月に各地の地域団体長にも同行していただき、南部15市町村全てを訪問し、要望してきました。サテライトも含め拠点の広報については協力いただける可能性があり、各地域団体も頑張っていただいています。もう一つ、移動の課題もあります。私たちは、新しい場所へ赴くというのは、大変なことです。見えていた頃ですら、いったことのない場所へ行くわけだから、例えば最寄り駅から、拠点まで安全に移動するための体験をしていただく、その中で、例えば点字ブロックの設置など、環境改善を要望していく。さらに、近くにお住まいの方やボランティアの方々にもご理解・ご支援をお願いしていくなど、開設までにしておくことが沢山あります。何より、財源確保なしには、相談員の派遣や事業予算は組めません。
最後になりますが、このように、課題は沢山あるので、多くの方に分担いただきながら解決策を見いだしていく。同時に、私たち自身がしっかり地域にあらゆる機会を活かして発信していくということも重要だと思います。また、新しい拠点は、聴覚と視覚の団体が同じ施設に同居しますが、これは全国的にもまれだと思います。盲ろうの方の福祉向上に先駆的役割も求められます。私たちの協会である京都府視覚障害者協会の「ひとりぼっちの視覚障害者をなくす」というスローガンを実践できるよう、日々、その重さをかみしめています。
久保 考えていけば、課題とともに、何か新しい夢のようなことも想像できそうですね。川島さん、2回にわたりどうもありがとうございました。私も南部拠点にも是非顔を出させていただきますので、その際はどうぞよろしくお願いいたします。

※「南部サテライト事業」について
京都ライトハウスでは、京都府南部地域でサテライト事業に取り組んでいます。この事業は、京都視覚障害者支援センターとの共催で行っているもので、今年度は毎月1回、京田辺市、宇治市及び長岡京市などで実施しています。京都府南部にお住まいの方を対象に、相談や情報提供、各種訓練(点字・パソコン・PTR2・白杖の使い方など)及び交流行事等を行っています。日程等詳細につきましては,『京都府南部サテライト事業「集まって学びましょう」』のチラシやはなのぼう、京まるあるいはライトハウスのホームページなどをご参照ください。