*美術品って触れるの?

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作品に触れるスタッフ

展示物がガラスケースの中にある、あるいは「触れないでください」と書かれているミュージアムが多い中、手で触れられる「六甲山の上美術館」がオープンしたと聞いたのが昨年秋のこと。ぜひ1度、館長さんのお話を伺ってみたいと思っていました。

当館では毎年3月に、永年情報部門で活動していただいているボランティアの皆さんに感謝状をお渡しする「ボランティア・利用者のつどい」を開催しており、この式典後の講演をご依頼したところ、矢野茂樹館長がご快諾くださったのでした。

1月28日、矢野茂樹館長と打ち合わせのため、同館を訪問。打ち合わせの前にとまずは館内をご案内いただきました。木造やブロンズ像、御影石の作品、カメオなど次々に触れていきます。もちろん作品を傷つけないように指輪も外して…。

楠、栃、桜の木の質感の違いも手で触れるとよく分かります。作家さんの中には「最初は7割の完成度、人に触ってもらって完成作品になる」と考えている方もおられるのだとか。柔軟な発想をおもちなんだなと感慨深くなります。
館長のご妻女は仰いました。「目で見る作品鑑賞は30秒で終わるけれど、手で触れると作品の前に5分立ち止まる。ルーブル美術館へ行っても見てるだけではモナリザの手がどうだったか覚えている人は少ない。」

手で触れることで、1つ1つの作品とじっくり向き合うことができるわけですね。六甲山上は少し寒かったのですが、様々な素材の作品たちと心通わせていると、ポッと暖かい気持ちになりました。目の見える人も、見えない人も約百の作品をゆっくり触ることのできる夢のような美術館には、たくさんの喜びと発見がぎっしり詰まっていました。
暖かい季節にみんなでまた訪れることができればと願いつつ、満たされた気持ちで美術館を後にしました。

3月7日(金)のつどい当日には展示品も数点持ってきたくださります。是非、一度「さわる」世界を体験しにお越しください。多くの方のご参加お待ちしています。

(情報ステーション 野々村好三)