はなのぼう 2010年9月20日号
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 この夏の参院選では、視覚障害者向けに上記の3つの媒体で選挙公報と同文の「選挙のお知らせ」が日盲委選挙情報支援プロジェクトによって発行されました。発行部数は、点字版の比例区が35,000部弱、選挙区が28,000部弱、音声版の比例区が19,000部強、拡大文字版の比例区が1,500部弱という状況でした(なお、音声版と拡大文字版については、比例区を主に製作されています)。比例区の3媒体を合計すると約5万5千部ほどとなります。それに独自に製作されている県もあって、それらを合わせると全体で6万部程度が発行されていると予測されます。この6年間の5回の国政選挙で、視覚障害者への情報提供は飛躍的に前進したと言えます。

 その原動力は、「参政権は国民の基本的人権の一つであり、視覚障害者の選挙権の行使に当たっては適切な情報提供がされる必要がある。」ということを国や行政に訴え、全国の点字出版施設や情報提供施設が協力して、発行体制の整備に取り組んで来た成果です。

 国政選挙や都道府県や政令指定都市の首長選挙に際しては、選挙公報の発行が義務付けられており、政見放送もテレビやラジオで行われています。しかし、点字版や音声版の「選挙のお知らせ」は選挙公報と位置づけられておらず、参政権の保障という点で大きなネックになっているのではと思われます。

 独自に発行されている県も日盲委のプロジェクトに参加してもらい、全国31万人の視覚障害のある有権者に必要な情報提供がされるように取り組んでいきたいと思っています。(田中 正和)