はなのぼう 2010年3月20日号
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 今、障害者関係で注目されるのは、障害者権利条約の行方と、今の「障害者自立支援法」からどんな「障がい者総合福祉法」に変わるか、であると言っても過言ではないと思います。

マスコミでは、盛り上がった? オリンピックが終わり、パラリンピックの報道も続いていますので、1月から精力的に検討が続けられている「障がい者制度改革推進会議」の内容についても、ニュースにならなくなってきました。でも、今後への影響が大きいことを考えると、しっかりと知っておく必要がある情報です。

 この会議は毎月2回持たれていて、多大な記録も公開されています。

また、第2回会議から始まったCS障害者放送統一機構による中継も行われていますが、多くの視覚障害者はそれらの情報からまったく取り残されている、といってよい状況です。

 言うまでもなく、現在は膨大な情報があふれており、晴眼者も情報の洪水の中で溺れている状態です。ましてや視覚障害者にとっては、「情報の選択」が非常に困難ですので、極端な情報格差の中にあります。

 これまでの視覚障害者への情報提供は、晴眼者と同じ情報を点字や音声で、というのが目標でした。しかし、今や、各視覚障害者が本当に必要としている情報を的確に選び出し、必要な部分だけを提供していくことが求められているのです。支援法制定のときも、膨大な資料がインターネットで提供されても、関係のある部分を見つけ出すだけで疲れ果ててしまう、とは、当時よく聞いたことでした。

当館は2005年9月の第1号から翌年12月最終号の「まとめ」まで、23回の自立支援法関係資料テープを独自作成して提供を始め、150人の利用を得て、全国の指導的な立場の方々からも、重宝した、という評価をいただきました。

 その人が必要とする資料を選び出して提供すること、また、メディアの変換だけではなく、視覚障害者ができない・しにくい「検索」の代行など「個々に必要な支援」をしていくことが重要になってきています。(加藤俊和)