はなのぼう 2010年1月20日号
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 2010年元旦から、大改正された著作権法が実施されました。

著作権者の許諾なしに公共図書館等でも製作でき、対象者が視覚障害者以外にも大きく拡がりました。

そして音声だけでなく提供媒体の種類も増え、公共図書館も点字図書館も、対応への検討はこれから、という所が多いようです。

 ところで、全国に約90館ある点字図書館、およびボランティア団体、公共図書館など多くの団体200以上をネットワークで結んでいる「ないーぶネット」が、年内にも大きく生まれ変わろうとしています。

 点字図書館等の団体である全国視覚障害者情報提供施設協会が提案してきた新しいネットワーク構築のための4億3千万円の補正予算事業が実現し、“仕分け”も無事通過して、急ピッチで開発が進んでいます。

 最も大きい変化は、従来のないーぶネットに、これまで日本点字図書館と日本ライトハウスが実施してきた、デイジー音訳データ配信の「びぶりおネット」が統合されることです。各点字図書館の有しているデイジー図書データが加われば10万冊にもなり、期待が高まっています。これまで幅広く利用されている点字図書・録音図書の全国目録をオンラインリクエストで利用することはもとより、豊富な点字データに音訳データも加わることで、文字通り世界一の視覚障害者用資料データ配信ネットワークになります。

 さらに、今回の著作権法の改訂で新たに認められた文字データも期待されており、流出の可能性から出版社もデータの提供がしやすく、音声での利用もしやすいことから「テキストデイジー」とした形式も登場します。

二つ目には、地域情報サービスが加わることがあります。

視覚障害者等は様々な情報から取り残されていますが、福祉情報や各地域に存在する行政・タウン誌などの情報を音声などで利用できるシステムも予定されています。

 もちろん、これらの情報は、パソコンを利用できない多くの方々へも提供していくことが必要ですので、点字図書館等の役割が拡がって変わっていくことが必要になってきています。さらには、新しいネットワークが完成後、どのように運用されていくかも大きな課題といえるでしょう。(加藤俊和)