はなのぼう 2009年12月20日号
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 6月に国会を通過した新しい著作権法が新年1月から実施されます。

 今回、大きく変わったのは、これまで、著作権者に許可を得ないとできなかったことが、許可なしでもできる範囲が広くなったことです。まず、利用者の範囲が視覚障害者だけでなく発達障害者などにも拡がり、メディアの種類が音声だけから「必要とする形」に、製作者の範囲が点字図書館だけでなく公共図書館等にも、それぞれ拡がります。まもなく1月1日から実施されますので、幅広い方々から期待が高まっています。

 その中でも注目されているのは、点字図書館などがこれまで製作してきた何万冊ものデイジーのデータです。ないーぶネットでは、音声のデイジーデータの配信を行ってきたびぶりおネットと統合し、総合ネットワークシステムとするための開発が進められています。これが実現すると、人間の声による「世界一のデイジーのネット図書館」のサービスが始まります。

 ところで、このデイジーデータを必要としているのは視覚障害者だけではありません。「目は見えるけれども、文字として認識できない・しにくい」多くの人々が、人口の6%もおられると言われています。これらの人たちは、音声だと理解できるのです。さらに、デイジーだと音声と同時に、今読んでいる文字の部分の色を弱視用のように反転させて画面に表示することにより、非常によく理解できるのです。このような音声と画面を連動させた「マルチメディアデイジー」という方式の本が必要なのですが、まだその製作は緒に着いたばかりです。特に、マルチメディアデイジーの教科書は切望されており、親の強い願いから生まれた「奈良デイジーの会」が先駆的に取り組んでこられて、拡がってきています。

 あと1か月足らずで新年を迎えますが、そのとき、これらの「必要とする人たち」にもデイジー音声図書を利用できるようになります。これからは多くのボランティアの作ってくださった多くのデイジーのデータが、さらに有効利用されていくことが期待されています。(加藤俊和)