はなのぼう 2009年09月20日号
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 総選挙で民主党が圧勝し、社民党・国民新党と連立した新しい政権が動き出しました。施策については、連立の影響も含め、民主党の選挙公約であるマニフェストが重視されながら、障害者施策も、実際の政治の中でどのように決定され実施されていくのかが注目されます。

 障害者関係を中心に見ますと、マニフェストでは、「障害者自立支援法を廃止」「障害者権利条約の批准に必要な国内法の整備」「後期高齢者医療制度を廃止」については、連立を組む民主党と社民党とで一致しており、実行に移されていくものと期待されます。

 でも、「利用料は応能負担に戻す」と言っても、障害者自立支援法が施行されて3年が過ぎ、幅広い分野で切り替えが進められてきた中で、制度を支援費制度に戻せばよいわけではなく、「新制度」とするには、関係各団体等の意見を十分に聞いて検討して法案にまとめて国会に諮り、と実際に実施されるまでには、相当急いだとしても一定の年月を要します。

 しかし、現在の障害者自立支援法は、障害程度区分一つをとっても介護的考え方が中心で、情報障害者である視覚障害者とは大きなずれがあるだけに、「新法案実施までの間は現状のまま」では、困る状態が続いてしまいます。

 解散前の国会で廃案となった障害者自立支援法の「改正案」にしても、社会保障審議会障害者部会での報告を踏まえての提案であり、一定の評価がされている内容も多く含まれていました。特に、視覚障害者への移動支援は「情報支援であり、地域生活支援事業でいうコミュニケーション支援でもあって、住む地域によって必要な支援に大きい差がないように適用する」ことなど、早急に対応する必要のある内容がいくつも含まれていました。

 もちろん、「重度視覚障害者の範囲」となっていたようなことについては範囲の明確化が必要です。さらには、障害程度区分なども、当面の見直しだけは すぐに行われる必要があります。

 このように、抜本的な取り組みと、当面急ぐことを分けて実施するよう、働きかけていく必要がありそうです。(加藤俊和)