はなのぼう 2009年08月20日号
今月のトップニュース

 8月30日の総選挙投票日が近づいてきました。議員を選ぶのに必要な情報は、政党の公約や議員のアピールなどいろいろあります。最近話題のマニフェストについては、公示後に各政党本部などで入手できますが、点字版や録音版を用意しない政党が少なくないようで、視覚障害者への配慮は不十分と言わざるをえません。

 その中で、最も基本的な選挙公報の点字版については、抜粋版ですが、すでに1968年の第8回参議院選挙のときから、東京ヘレン・ケラー協会で継続して作られてきました。全てを点訳した「選挙のお知らせ」については、2001年の参議院選挙のときからでした。

 録音テープについては、2年前の参議院選挙の直前にやっと実現し、そのときに作られた全国区の録音テープは約1万4千本で、拡大文字版の音声コード付きも製作されました。今回は、比例区の録音テープが約1万9千本になっているようです。点字版についてはこれまでの多くの方々の努力によって、2007年の参議院全国区では約4万5千部となっていましたが、今回の比例区では約3万9千部と、やや減少しているようです。なお、このほかに、今回は最高裁判所裁判官の国民審査の点字や録音テープも作られています。小選挙区についても、多くのところで点字や録音テープを製作してきています。

 問題点は山積しています。点字版も録音版も、国政選挙ですら公示日から12日しかなく、今回も5,6日で入力から発送までのすべてを終えなければなりません。また、録音テープは複製する機械がなくなってきていますが、デイジーにしたくても再生機すらない人が7割以上もおられます。

 配布は自治体の広報誌の範囲で配布されることが多いのですが、ご存じのない方もかなりおられます。近くの選挙管理委員会にご連絡され、点字や録音テープがなければ要求もしていくことで、選挙という基本的な権利が確実に保障されていくことにつながればと思っています。(加藤俊和)