はなのぼう 2009年04月20日号
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 各地で定額給付金のお知らせが送られはじめ、早いところでは3月に、大都市では4月に送られて5月に受け取り、となってきたようです。でも、その「お知らせ」はほぼ墨字だけで、手触りだけでは大量に紛れ込むダイレクトメール(DM)との区別もつきません。

 一方、4月から「ねんきん定期便」が各受給者の誕生月に送られ始めました。昨年の「はなのぼう」6月号で「ねんきん特別便に視覚障害者の配慮がない」と書きました。今度は文字コードを付けたので配慮できたとのことですが、それを利用するためのスピーチオやテルミーの普及はわずかにすぎません。さらに主力のスピーチオは、在庫一掃のあと、生産中止とされました。これではとうてい「視覚障害者に配慮しました」とは言えません。

 ねんきん特別便のときに「封筒に点字を」という声が出ていましたが、今回は文字コードの方向を示すための切り欠きが付きました。それで、注意深く周囲を触れば分かる、とのことでしたが、そのようなことを知っている視覚障害者はどれだけおられるのでしょうか。点字は「点字を読める人は10分の1だから点字ではだめだ」と言われたとのことです。これは大きな間違いで、「せめて封筒に点字が付いていたら点字だと分かるので、「何か必要なもの」と思って、すぐに捨てるようなことだけでも防げるのです。

 もちろん、中身が点字や音声で読めない以上、読んでもらって書いたり送ったりする必要があります。視覚障害者は一人暮らしの方が15%と、障害者の中でも飛び抜けて多いので、在宅者対策がぜひ必要です。先駆的な京都の読み書きサービスも、当館に来ることができたりFAXを使える人に限られています。在宅の方への読み書きについては、せめてガイドヘルパーが家に来たときにしっかりと読んでもらえるようにしようと、改善対策が始まっていますが、実現にはまだまだ時間がかかりそうです。

 「視覚障害者にも、せめて全国民への情報だけは補償してほしい!」これが切実な視覚障害者の声なのです。(加藤俊和)