はなのぼう 2008年07月20日号
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 今年になって、ポケットに入る大きさの録音機器が相次いで発売されています。ケージーエスのBFーVOICE、アメディアのおしゃべりレコーダー、エクストラのVRストリームに加えて、年内にはシナノケンシからもPTW1が発売される予定です。どれも、2センチ角ほどの小さく薄いSDという大容量のカードにデータを入れてデイジー図書を聞くことができ、より便利になろうとしています。

 でも現在、5万冊を超えて世界最大規模と言える日本のデイジー図書のCDからこのSDにコピーをして貸し出すことについては、多くの点字図書館ではすぐには対応が困難な実状があるのです。

 それは、「1件1件のCDからSDへのデータコピーが簡単にできる」といっても、「まるで戦場のような」と形容されている活発な点字図書館の貸出現場では、「データコピー」という小さそうな作業だけでも加わると取り扱い件数が多いために貸出作業が滞ってしまいかねないからです。

 例えば、当館では発送と受取りを合わせて400件ほどを毎日処理している、全国でも利用の相当多い点字図書館です。電話や手紙などで依頼を受けて図書を探し、貸出処理をして発送する、今度は、返ってきたCDなどを一つ一つ中身の確認と返却処理をして片付ける、という作業で毎日ごった返しています。そこにSDへのコピーが入ると、貸出作業がどんどん遅れてしまうことが予想されています。また、これまでの点字図書、テープ、デイジーCDに追加して、デイジーSDも新メディアとしていく必要があります。

 シナノケンシでは、パソコンなしでPTR2などのCDから、直接この端末機のSDにデータを移せる機能を付ける予定になっています。その場合は、携帯用は二つ目の機器として、PTR2などのCDから、利用する人が自分でSDにデータを移せますので、すぐにも利用が可能です。

 利用者にとってポケットにも入る小さなデイジー機器は大変便利であるのはいうまでもありません。せっかく5万冊以上あるデイジー図書を何とか簡便に利用できる方法を早急に検討していくことが求められています。(加藤俊和)