はなのぼう 2008年06月20日号
今月のトップニュース

 この4月から10月までの間に、「ねんきん特別便」が「すべての年金受給者」に対して送られはじめており、年金を受けておられる方にはすでに届いているはずです。でも、この重要なお知らせには点字も音声もなく、視覚障害者への配慮はまったくありません。

 「せめて、封筒に点字などがついておれば、点字が読めなくても広告と区別できるのに…」受け取った視覚障害者の切実な声です。あまり経費をかけずに、点字でなくても、他の郵便物とは異なる凹凸を「ねんきん」のすべてに付けることだって可能なのです。また、「青色の封筒が届いている方は年金記録にもれがある可能性が高い…」などと言われても、封筒の色も

分かりません。

 さらに問題は、中身の確認方法です。記載されているのは個人情報ですが、「ご家族の方といっしょに記憶をたどってみるなど…」と書かれています。ましてや視覚障害者は他の障害者よりも一人暮らしがずっと多くて15%にもなっており(厚労省の実態調査)、確認したいと思っても、だれに委ねたらよいのでしょうか?

 また、晴眼者のご家族などに相談などを委任しようとしても、「氏名はご本人が必ず署名し押印する」とされています。日本における「署名」は筆跡だけをみるサインとは異なり、「文字として判別できる」ことが求められることが多く、視覚障害者や上肢障害者には非常に不利です。

 いま、社会保険事務所は1時間待ちどころか2時間、3時間待ちのときさえあるところが多いようです。「まずは専用ダイヤルへ」とされていますが、届いている書類が見えないと電話相談すらできなくなってしまいます。

 わずかな対処にしかなりませんが、当館の読み書きサービスでは、FAX(075−462−4434)や郵送で送っていただき、10時から16時までの間にお電話をいただければ、対応させていただきます。ご相談ください。

 「すべての国民」にとって重要な年金問題、視覚障害者も国民の一人のはずなのですが…。(加藤俊和)