はなのぼう 2006年12月号
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日本点字図書館は、約4年後の2011年3月でテープ図書の貸出しを中止すると理事会で決め、点毎でも報道されました。たしかに、デイジー図書の貸出しはテープよりも多くなってきました。京都でもデイジーのCDの貸出し数はテープを超えて着実に増えており、数年後にはテープの何倍もの数になっていくことでしょう。また、録音や再生の機材が製造中止になって店頭から次々と姿を消していきます。テープも国産はなくなり、ヘッドを痛めるようなアジア製も出てきています。そしてデイジーとテープの2種類を作り続けていくことは相当大変です。

でもちょっと考えたいのです。デイジーの利用が大きく伸びているのは、多数借りられる利用者がデイジーに乗り換えられているためで、「デイジーの利用者数」は録音の利用者全体の2割にも達していないのです。さらに、この10月以降は自立支援法で自己負担が必要になり、入手できなくなっている方々も少なくありません。また、オープンリールからカセットテープへの切り替えとは違って、著作権上デイジーを聞くハードやソフトは一般市販品ではないために普及しにくい、ということもあります。したがって、「デイジーに乗り換えられない人」はかなりの年月がたってからも少なからずおられることでしょう。本当は、1万円以下の再生専用機の開発が可能な「デイジー再生機を必要とする視覚障害者10万人以上に無償配布する」10億円の確保、のような取り組みが実現できれば、一挙に切り替えができるのですが。

利用者がいる限りは最後まで残さないといけないのではないか、少なくとも各館が協力し合ってどこかの館では最後の一人の利用者までフォローを行う、それが点字図書館の使命ではないかとも思うのです。再生機などをできる限り製造し続けることを業者に働きかけたり、なくなっていく機器やテープを一定数確保することや、デイジー図書のテープへの変換サービスも考えなければなりません。

状況は非常に厳しくても、最後の一人のテープ利用者まで、なんとか提供し続けていくことを考えていきたいと思っています。