はなのぼう 2006年9月号
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9月1日、1文字の音声読み上げが初めてできるようになった携帯電話が発売されました。ドコモのFOMAらくらくホンIII(スリー)です。別にメーカーの宣伝をするわけではありませんが、かなり多くの視覚障害者がこの日を待っていました。これで携帯メールができる!と。

「らくらくホン」は、高齢者向きとして設計された分かりやすさが、視覚障害者にも受け入れられ、多く使用されてきました。でも、通話にしても、電話帳に登録するのに漢字を自分では確認できず、晴眼者の手を借りて登録した人が多くおられました。また、携帯メールの受信はできても、メールを書くときは、漢字を正しく書けたかどうかが分からないので困る、でした。

音声読み上げができるのは、操作画面、メール内容、発着信履歴、iモード、電卓、現在時刻、充電完了などで、新たに「文字入力時の漢字の説明読み機能」が追加されました。さらに、少しは見える方にとってよいのは、表示文字が大きくなったのに加えて、ゴシック体と教科書体から選べるようになったこと、そして、視覚障害者にはあまり関係がないと思われていたカメラ機能も、約130万画素になった背面側のカメラによって、手持ちの拡大鏡としても使え、小さな文字も最大4倍に拡大されます。

このほか、ゆっくりボイスやはっきりボイス、歩数計など便利な機能もあります。大きさは、幅5センチ、高さ10センチで、厚さは1センチ9ミリと薄くなり、重さは110グラムと軽くなって、これまでの「お年寄り向け」のダサさ?から、しゃれたデザインになりました。また、時刻を自動的に補正する機能や、自動ノイズキャンセルで通話がクリアになったほか、緊急用の大音量100デシベルのアラームも付いています。

「晴眼者から取り残された視覚障害者の情報環境の改善」は、一部の人しか使えないパソコンではだめで、「誰でもインターネットが使える道具」ができて初めて大きく改善されると思っているのですが、今回の携帯電話の登場で進むかも、と少しは期待が持てる新機種の登場でした。