触ってわかる ― 点字、刺繍、うさぎ

 新年早々お恥ずかしい話ではあるが、先日、利用者さんより「宛名カードに点字がないんやけど…」というご連絡があった。点字図書や音声デイジーを郵送する際に使用する宛名カード。片面は利用者さんのご住所とお名前が、もう片面は当館の住所と宛名「京都ライトハウス情報ステーション行」が墨字で書いてある。こちらからお送りする際は利用者さんの宛名で、返していただく際はカードを裏返して当館行きにしていただく、という要領だ。
 当館の宛名面に、点字の凸面で「きょーと らいとはうすゆき」と書かれているのが正解。点字が読める方でも読めない方でも、「ボコッと出てる方がライトハウス行きやな」とおわかりいただくのが目的だ。その点字がなければ、図書を読み終えて「さあ、返却しよう」と宛名カードをひっくり返そうとしても「あれ? これって京都ライトハウス宛て??」と、確信が持てぬままポストに投函いただくことになるか、ご近所さんや郵便局で確認していただくか、はたまた直接当館へご足労いただくことになる。いずれにせよ、こちらの不手際により利用者さんに不便をおかけすること極まりない。
 「そしたら表面に『○○さま』、裏面に『らいとはうすゆき』って打ったら?」という発想もあるかもしれない。でもそうすると、点字の読めない方にはどちらがライトハウスかがわからなくなってしまう。触ることによっていかに速く、わかりやすく、正確に判別できるか、というのがミソなのだ。

 とある乳児院の布団やシーツには、ひまわりやひつじ、てんとう虫やライオンなど、色とりどりのきれいな刺繍がしてあるとのこと。子どもたちはそれぞれにマークを決めており、「自分のものだ」と見て、触ってわかるようになっている。
 小さな動物が苦手な娘が、掃除のためにうさぎを抱っこして移動させなければならなかった時。緊張の余りきつく抱きすぎたようで、はじめは異様に激しかった鼓動が徐々に弱まっていく生命の危機を腕で感じ、慌てて離したという。
 うさぎ年のはじめにうさぎのホラーな話で終わってしまったが、触るって、いろいろな情報を得られるものだと改めて感じた。

(はなのぼう1月号より)