季節が移り変わり、春の暖かい日差しが桜の木を照らします。桜も満開で絶好のお花見日和です。

例年同様、今年も少人数ずつお花見散歩を行いました。見えない、見えにくい方でも楽しめるよう、言葉で分かり易く説明したり実際に触って頂いたりして工夫をしていますが、今回は意外なことでお花見を楽しんでいる方がいらっしゃったのでご紹介いたします。

昨年度の日誌でも、「みんな桜に気が行くから、名前も尋ねてもらえないね」と桜以外の木々を気にかけておられた視覚障害を持たれているAさん。勤務中、職員を急に呼び止め、「ちょっと見せたいものがあるから部屋に来てくれへん?」とのことで訪室しました。

「うちの窓から桜が見えるよ。ちょっと見て行ってください」と笑顔で話されます。窓から外の様子を覗き込むと、目の前の公園の木々の中に1本だけ満開の桜の木が見えました。満開でとても綺麗なこと、公園の中に桜の木があることもAさんの居室から見えることも知らなかった、ゆっくり桜を見る機会がなかった為、心が穏やかになったことをAさんに伝えました。「そうやろ?この前に出かけた時にガイドヘルパーさんが桜があることを教えてくれてね。私の部屋からも見えるみたいやし、職員みんなに言ってるんです。みんなそれぞれ反応が違って面白い」とAさんは話されます。各職員の反応を聞いて楽しまれておられるご様子でした。お花見の楽しみ方は人それぞれであると改めて感じたと同時に、見えない、見えにくい方の理解をもっと深めていきたいと決意した出来事でした。

 

Aさんの居室から見た桜です。お話直後は満開の桜でした

 

お花見散歩中です。
お花見散歩中です。
木の幹を触って桜を感じて頂きます。

 

春の暖かさを身体全体で感じておられました。

 

(盲養護 田子森)