久々の点訳と分かち書き

 先日、久々にパソコン点訳をした。32マス18行、1ページ。たったこれだけ。にもかかわらず、まあ、指がもつれるもつれる。パソコン点訳をされる方にはおなじみの六点入力。ホームポジション(FDSJKL)のキーとスペースキーで点訳ができる。点字タイプライターと同じ、便利な入力方法だ。
 点字出版部(現・情報製作センター)時代に点訳していた頃も、決して速くはないし打ち間違いもあった。画面は点字表示にしておき、ある程度打ったら画面上で読み返す。切るべきところがドカッと連なって、えらく長い一文になったり、濁音を打つべきところを濁点と次の静音がひとマスに合体して訳の分からない文章になっていたり。かな表示にすると、それでもまだ見落とし箇所があったり。校正者泣かせ、なんとももどかしい限りである…。

 誤字脱字とともに、注意すべき分かち書き。ある原稿で出てきた、京都の夏の風物詩「祇園祭」。初めは「ぎおんまつり」とひと続きになっていた。私はさして気にも留めず、そのままスルーしてしまったのだが、ある職員が「ぎおん|まつり」と、「ぎおん」と「まつり」の間に墨字で縦棒一本を引き、指摘した。思わず「あ、切るんやな」と問う。その職員は「三拍ですからね…」と、点訳のてびきをパラパラとめくりだす。そうだ、聞く前に調べなければ! 私も「てびき」を出し、調べ直した。かなり初歩的なところで、まず調べてみるという手順を飛ばしてしまった自分に反省の念しかなかった。

 同じ部屋では、また別の職員が懐中定規でコツコツコツコツと点字を打っている。手打ちでもパソコン点訳でも、丁寧に打たなければ。そして、丁寧に読み返さなければ。そう、改めて思った日であった。

(はなのぼう10月号より)