12月に入ると感じるのは一年が経つ速さです。でもふり返れば結構いろいろな出来事があり、その時その時の自分を思い出すと、いろいろあったなあと長く感じたりもします。まさに時の流れの感じ方は過ぎ去った時を振り返るか、その中にいるたくさんの自分を見いだすかでずいぶんと変わってきます。

ギリシア神話にはクロノスとカイロスという「時」を神格化した二つの神が登場します。クロノスは過去から未来へと続く時の流れを支配し、カイロスは「チャンス」「タイミング」を意味した前髪しかない神として、人間の時の活かし方を支配しています。

人生を楽しむには粛々と流れるクロノス時間の中で、何時訪れるかも知れぬカイロス時間をどう活かすかにかかっているようです。そして時の速さの感じ方もこの二つの時間の有り様で変わってきます。古代ギリシア人は人生に流れる時の質の違いを、この二つの神で的確に言い当てています。

時が流れなければチャンスにも出会えません。どちらの時間も大切です。

来る年もクロノス時間を無為に過ごさず、カイロス時間を逃がすことのないよう心がけたいものです。

皆様方にとってすばらしい時が流れる年が訪れますよう、お祈りいたします。

(五十嵐 幸夫)