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中央 授賞式にて 盾を手に持ち笑顔の小林さん

見えないイチョウ並木にて
いつの間にか、きらきらと目映いばかりで一向に熱を孕まなくなった陽射しの中、
一緒に散歩していた方が、向こうにきれいなイチョウ並木がある、と教えてくださいました。
近づくと、足下にはふかふかの絨毯。
辺りには濃く薄く、あの独特の匂いが漂っています。
でも、見上げた頭上には、記憶の中にある、黄金に輝き重なり合うはずの
イチョウの葉はありませんでした。
ただあどけないほど明るい空間が広がり、時折風でかすかな光が揺らぐだけでした。

もう、私には見えないんや・・

秋の葉がひとひら、ひとひら落ちていくように、美しい風景ははらはらと
私の掌から零れ落ちていく

その衝撃を、私は静かに受け止めました。

悲しみ、不安、恐怖・・それはもちろんあるけれど、
それでも今、自分が生きていることに感謝できる私がいます。
それは、毎日私を支え、助けてくださる方々がいるから。
痛みを分かり合い、励まし合い、笑い合える仲間がいるから。
そんな、たくさんの方々への感謝の想いを伝えたくて綴った文章が
大きな賞をいただいたのは、ほんとうに嬉しいことでした。

少しずつ見えなくなり、少しずつできないことばかりが増えていく私にとって、
京都ライトハウスで得た多くの経験は、自信を持って生きる力を与えてくれるものでした。
視覚障害者にとっての文章を書くことの大切さを教えてくださった、このコーナー(かがやく視覚障害者のみなさん)第11回の石川佳子先生をはじめ、1年間、あたたかくお力添えをくださった職員の皆様、仲間の皆様、
改めて、ありがとうございました。

美しいイチョウ並木は、たとえ見えなくても、ちゃんとそこにある。
それを感じる心まで失くさなければ大丈夫

そう 私たちは ひとりひとりがかがやく視覚障害者
たとえ自分にはその輝きが見えなくても。

自分色の輝きを大切に生きていきましょう。

小林 由紀

第15回オンキョー世界点字作文コンクール 国内の部 最優秀オーツキ賞 受賞作品

 「天使の杖とともに」(docx形式:15KB)

プロフィール

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FSトモニー新年会での小林さん

1972年 富山県生まれ
先天性の網膜色素変性症だが、最初はただ「視力の悪い子」だった
2008年 転職の際、「健常者です」と言い張って仕事に就くことへのためらいが強くなり、悩んだ末に障害者手帳取得(2級)
2016年 娘の大学進学に合わせて京都に移住
1年間、鳥居寮で訓練を受ける傍らFSトモニーでテープ起こしをしながら就労支援を受ける
2017年 鳥居寮パソコン訓練よりアビリンピック京都大会パソコン操作部門へ出場 最優秀賞受賞
FSトモニーでの就労支援により、株式会社わかさ生活へ就職
鳥居寮文章講座受講中、第15回オンキョー世界点字作文コンクールへ応募 最優秀オーツキ賞受賞