7月の外出企画、梅雨の時期なので雨天でも楽しめる企画を、とスタッフは考えました。初めての試みです。「自分でお抹茶を点てて、飲んでみませんか」。お店の場所が、西本願寺の門前町。それならば、6月開催の「京都てくてく町歩き」を気に入ってくださった方がありましたので、その色を忍ばせた散策を企画です。

京都駅に集合。視覚障害者のみなさん7人、ガイドヘルパー6人、スタッフ2人の15人が本日のメンバ-です。普段お住まいの地域は別でも、月1回の外出企画でお会いするうちに顔なじみ、お知り合い、仲良しになります。「いや-、久しぶりやね」「元気やった?」みなさんのこういう会話を聞くことができて、ニコニコの笑顔を見られて、スタッフはうれしいかぎりです。みなさんがつながるお手伝いができているのかな、と思える瞬間です。

駅から徒歩20分ほどのお店「宇治茶の美好園(びこうえん)」をめざし、出発。心配していた雨もふらず、「よかったね-、心配したよ」とみなさんの足取りも軽く、下京区の昔ながらの細い路地を抜けていきます。「美好園」のある仏具屋町は、仏壇・念珠などのお店がならびます。

さぁ、美好園に到着。和室に紺色の毛(もう)せんがひかれ、皆さんがその上に正座しています。床の間には、掛軸と茶花があります。着物を着たお運びさんの女性が、お菓子を載せた懐紙を配ります。おひとりおひとりの前でお辞儀をしてお菓子を置いていきますので、みなさんもお辞儀を返します。

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(みなさんの前に懐紙に乗せたお菓子が配られています)

本日のお菓子は松風(まつかぜ)。ほんのりした白味噌風味で、手で持っていただきます。
みなさんの前に直径30㎝大のお盆が配られました。これから、抹茶とお湯を注いだ茶碗を載せてもらい、お点前が始まります。お店の方3人が、みなさんに茶筅(ちゃせん)の動かし方を教えてくれます。ガイドさんも言葉と手で支えたりしながら、動きを伝えます。ほどよく泡もたってきました。美味しそうです。

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(茶筅をすばやく回して、お茶をたてています)

みなさん、お茶を点てられました。さぁ、いただきましょう。美味しくお茶をいただいた後は、お店の方への質問コーナーが始まります。今日参加のみなさんは、お点前をお稽古されていた経験のある方がたくさんおられました。なるほど、だからみなさん茶筅の扱いがお上手だったのですね。お店の方の対応も気持ちよく、みなさんも楽しんでいただけたようで、お店のパンフレットもお持ち帰りになりました。

さ、次は、西本願寺へまいりましょう。国宝の御影堂(ごえいどう)と阿弥陀堂(あみだどう)を拝観します。みなさん畳敷きの外陣に入って座り、各々の時間を過ごします。一人では抱えきれないほどの太い柱を触ってみます。帰り際、境内内の情報コーナーで、お寺の方からお土産をいただきました。華葩(けは)です。お寺で撒(ま)かれる紙製の花びらを形どったものです。

「6月の「ぶらり京都散歩」が楽しくて、今月も参加したよ」というお声をいただきました。ありがとうございます。これからの企画にも、たくさんのアドバイスをお願いします。そして、まだ第1週目の外出企画にいらっしゃったことのない府南部地域のみなさん。ぜひご参加をお待ちしております!

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(国宝 唐門(からもん)の前で、全員で記念撮影。みなさん、にっこり笑顔です)

(鳥居寮 京極裕子)