京都府南部地域サテライトは、毎週水曜日、定例会場3か所で定期的に開催しています。(第2水曜日は京田辺市、第3水曜日は長岡京市、第4水曜日は宇治市)。
第1水曜日にあたるこの日は、月1回の特別会です。いつもとは違った企画内容で、すべての地域の方に参加を募ります。そして、そこからまた交流の輪が広がっていきます。

*
(青い色のアジサイ)

この日、近畿地方は梅雨入りになりました。本来は東山散策(知恩院から清水寺まで約5キロの道のり)を企画していたのですが、1週間前から天気予報には雨マークが。雨雲レーダーを見ると荒天ではなさそうです。せっかくなので、少しの移動と屋内の楽しみをと新たな内容を企画しました。「プチ岡崎探訪」です。
当日は、利用者さん6名、ガイドヘルパーさん6名、スタッフ2名の14名ご一行さま。ツアーガイドは、スタッフKが務めさせていただきます。
メニュ-は、古川町商店街、白川(疏水)沿いの一本橋、並河靖之七宝記念館、京都の路地と白川疏水、京都伝統産業ふれあい館となりました。

「古川町商店街」は、昔は「東の錦」とも呼ばれた、歴史ある商店街。幅約3Mほど、長さ約300Mのアーケードには、お総菜屋さんや金物屋さんなどが並び、懐かしいにおいがします。その一方で町家の風情を残したホテルなどがあり、外国人観光客の姿が多く見られます。祇園の有名なあのパン屋さんの工場もこの商店街にあります。私たちが歩いていたのはお昼どき前、おかずの美味しそうなにおいに、皆さんの心もウキウキ。

*
(なつかしいにおいのする、古川町商店街のアーケード。店名の入った提灯がぶらさがっています)

アーケードの南端は、白川にぶつかります。ここは、さまざまな撮影に使用される一本橋に出会える場所です。幅70㎝弱の石橋は雨に濡れていたので、今日は渡るのをがまん。白杖でその幅と感触を確認する利用者さんもおられました。柳のあざやかな緑と白川の流れと石橋が、すてきな風景を作ります。

*
(鮮やかな緑の柳並木と一本橋。写真はスタッフの下見時で、快晴でした)

もう一度古川町商店街を戻り、地下鉄東西線「東山駅」から東北へ路地を入ります。さっそく和菓子屋さん発見。南座隣に店舗を構える和菓子屋さんの工場です。ガラスケースが無いので、買えるのかな?と一瞬思いますが、大丈夫、ここでもお菓子が買えます。お買い求めになる利用者さんあり。このあたりから風情ある町並みが始まります。

*
(ある店先には、石臼が置いてありました。壁には、近所の粟田神社における夏越(なご)しの大祓(おおはらえ)のチラシが貼ってあります)

「並河靖之七宝記念館」は、明治・大正期に活躍した七宝作家 並河 靖之の住居・工房を公開したものです。約120年前の京町家は国の登録有形文化財であり、7代目小川治兵衛作による庭園は市の指定名勝です。当時の面影を残したもので、いずれも趣あるたたずまいです。

*
(京町家の縁側の前で、利用者さんとガイドヘルパーさん。いい笑顔です)

*
(雨にぬれて緑が美しい庭の木々。池の水面には、水紋ができています)

*
(町家の台所、おくどさん。高い吹き抜けの天井には高窓や天窓があり、明るい光が入ります。天井の太い梁(はり)と戸棚は黒光りしています。流しの隣には内井戸があります。)

記念館を出て、町家がならぶ通りを歩きます。さらに「京都らしい」路地に入っていった先には白川が現れました。
琵琶湖疏水にかかる橋を渡り、平安神宮の朱色の大鳥居を見て、みやこめっせへ向かいます。昼食後、この地下1階にある「京都伝統産業ふれあい館」を訪れます。(ちょうどこの日はお向かいのロームシアター京都で 小林旭さんや橋幸夫さん達のコンサートが開かれていて、ホールはたくさんの方でにぎわっていました。)

「京都伝統産業ふれあい館」には、現代の匠がつくる京都の伝統工芸品74品目、500点が常設展示されています。製作工程も詳しく展示され、お気に入りのものがあれば購入できるものもあります。京焼のコーナーでは、釉薬前と後の器をさわってその違いを確認することができました。この施設の目玉は、職人さんの実演です。この日は京象嵌(ぞうがん)。象嵌は、1000年以上の歴史を持つ、象(かたど)って、嵌(は)める、細工です。京象嵌は、鉄生地に純金・純銀をはめ、漆で装飾します。みなさん、道具の「たがね」を触らせてもらい、3㎝ほどの大きさと先端の小ささに、いかに細かな作業なのかということに思いを巡らせ、桜の花をデザインした小箱を触らせてもらって象嵌の魅力を実感します。ふたと箱が寸分の狂いもなく、ずれることもない仕様に、職人のこだわりを教えてもらいました。

*
(職人さんの説明を聞きながら、京象嵌(ぞうがん)の小箱をさわっています。たくさんのアクセサリーが並んでいます。)

*
(京刃物もありました)

参加者のみなさん、雨の中、大変お疲れさまでした。
「案外、京都も知らない場所があるんだね。面白い。」「古川町商店街は、よかったね-。」
ご参加いただき、本当にありがとうございます。京都らしい風情をお楽しみいただけましたでしょうか。
これからも、皆さんに喜んでもらえるような企画を考えていきたいと思います。
次回の外出企画は、7月「抹茶点(た)て体験と西本願寺周辺散策」です。みなさんの参加を心からお待ちしています。

(鳥居寮 京極)