五月雨とは旧暦5月に降る長雨を指し、まさに今の6月の梅雨にあたります。だらだらと断続的に続くことのたとえに「五月雨式」という表現がありますが、降ったり止んだりいつ晴れるとも知れない雨の降り方が、こうしたかんばしくない意味を生みだしたようです。

この五月雨のイメージにつながる文学作品に、「源氏物語」第2帖、帚木の巻『雨夜の品定め』があります。五月雨の降る夜、やんごとなき際の男子たちが宮中宿直所に集まります。宿直。貴人警護の夜間勤務とはいえ平安の時代です。退屈な時間が流れる場に若き男子が集まれば、話題は自然と女性談義になるようです。

この場面は冗長で好きになれないという方もおられますが、男性目線ではなく当代きっての才媛紫式部が、自らの女性観や主張を光源氏や頭中将(とうのちゅうじょう)ら4人の男子の口を借りて語るのは、やはり興味がわいてきます。

だらだらと五月雨のように語られる理想の女性像とは? それは一度お読みになってご確認ください。共感されるか不快になられるか中途半端に感じられるか、そこは何せ千年前の物語ですから、軽く読み流して頂ければよろしいかと。

夜が短く蒸し暑いこの季節、本格的な読書には向いてないかも知れません。こんな時は軽くサラッと読める本で過ごされてはいかがでしょう? 情報ステーションでは、源氏物語はもちろん、サラッとした読み物も数々ご案内しています。お問い合せください。

(五十嵐 幸夫)