花ノ坊の桜もすっかり若葉に変わりました。
5月の陽気に誘われて、いろいろな花々が勢いよく咲き出しています。
自然界は溌剌とした季節を迎えています。
でも人間界では、まだまだ4月の疲れを残したままの方々も多いようです。

 さて、今、東京で「イマジン」という興味深い映画が上映されています。
イマジンといえば、ジョン・レノンのあの名曲が思い出されますが、この映画は、それとは全く違う、ポーランド人のアンジェイ・ヤキモフスキが監督した作品です。リスボンを舞台に盲教育施設の教師と教え子との淡いラブストーリーを基調に、盲教育施設の授業風景や、反響定位という白杖を使わない移動技術をめぐる諍いなどが展開され、また「音を見る」と評されているほどの秀逸な音響設計が、全編に盛り込まれているとのことです。
また、先行上映にあたっては、視覚障害者が招かれ、音声ガイド等が準備された環境のもとで上映され、上映後には視覚障害者と晴眼者とが、見え方の感覚や映画の感想などについて意見交換を行う場も企画されたとのことです。

この作品が何を伝えたいのか、なぜ「イマジン」と題されたのかは、まだ分かりません。
 また、私自身、ポーランド関連の映画といえば「戦場のピアニスト」以外思いつかず、どこか哲学的で重いイメージがあります。
でも今回、こうした映画が作られ、視覚障害者を交えた上映会や意見交換の場が試みられたという情報は、何かしら新しい楽しみがやってきたことを想像させてくれます。

京都でも早く観られることを、期待してやみません。

(五十嵐 幸夫)