京都ライトハウスは1961年に創立されたので歴史はそう古くありませんが、鍼灸関係の古書や視覚障害関係の資料、鳥居先生が残された資料もたくさんあります。鍼灸関係の古書というのは、京都府鍼灸按摩マッサージの試験委員や京都府立医科大学で助手をされていた谷田亭造さんが、全国の古書店を回って買い集められたりしたもので、健康面で不安を持たれた谷田氏が鳥居先生に保存を託されたようです。谷田文庫図書目録によると、江戸時代の木版本が73タイトル、明治時代の本が24タイトル、大正時代54タイトル、昭和時代(40年頃まで)が145タイトルで、デジタル保存を含めた保存が課題となっています。それと、視覚障害関係の資料もたくさん保存されていて、何か調べたりする時に大変役に立っているようです。また、鳥居先生が残された遺品の中にも、貴重な資料がたくさんあるようです。2011年の夏に東京の戦傷病者史料館「しょうけい館」で「戦盲」という企画展がありましたが、鳥居先生の遺品の中に「戦盲記」(点字版)があるということを人づてにお聞きになり、わざわざ東京からお借りしたいと来られました。

 鳥居先生の遺品を整理していて幾つかの新しい発見もありました。その一つは、お父さんが明治30年に書かれた日誌です。先生の著書に『すてびやく』という本がありますが、その中に「父が残してくれた日誌」というのがあり、引用の最初に次の一文があります。

 明治三十年二月八日旧正月七日ヨリ次男篤治郎感冒二罹り追々熱気強ク…

 紛れもなくその文から始まる「日誌」が見つかったのです。とても100年以上経過しているとは思えない美しい状態で感動してしまいました。これもデジタル保存をする必要があるのかもしれません。

 しかし、日盲社協の点字出版部会職員研修会でデジタル保存の耐用年数で衝撃的なことを聞きました。保存状態にもよりますが、FDは3年前後、SDカードやUSBは5〜10年、CDやDVDも10〜20年、ハードディスクは5年余りということで、保存したとしても定期的なバックアップが必要なようです。

 それに比べ、紙は100年、中性紙ならその数倍、和紙は1000年と寿命が長いようです。デジタル保存したからといって安心はできないようです。他にも珍しいものが出て来ましたので、折りに触れてご紹介します。(田中 正和)