このコーナーの第2回でご紹介した和田伸也さんが、この夏に世界中をわかせた、あのロンドンパラリンピックに出場されて、見事m銅メダルを獲得されました。
帰国されてから超ご多忙な和田さんに、ご無理をお願いして、当ホームページに体験記を頂くことが出来ましたので、ここに特別編として2回に亘り掲載を致します。

<後編>

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<鴨川パートナーズの仲間とメダルを喜ぶ>

4 たくさんの方々のご支援、ご声援に感謝

 今回、初めてパラリンピックに出場させていただきましたが、3種目ともに、思い描いていた以上の最高の結果を残すことができ、私にとって、非常に満足のいく大会となりました。それは、日本盲人マラソン協会の強化合宿や個人合宿、本番のレースで伴走をしてくださった中田さん、志田さんのおかげです。トレーニングのアドバイスもたくさんいただき、大変感謝しています。2011年のIPC陸上競技世界選手権大会で伴走してくださった二見君、強化合宿で一緒に走ってくださったたくさんの皆様、中でも、舘小路君、帝京大学や順天堂大学、国際武道大学の競走部の皆様にも大変感謝しています。ありがとうございました。

 また、中田さんと志田さんは東京の方ですので、いつも一緒に走っていただくことができない中、普段のトレーニングで一緒に走ってくださっている関西のたくさんの市民ランナーの皆様にも大変感謝しています。6年半前に走り始めた時からいつもお世話になっています賀茂川パートナーズの皆様、長居わーわーずの皆様、大阪ミントJCの皆様、木曜の夜に強度の高いペース走で伴走協力していただいています長居ウインドの葛原さん、近藤さん、中谷さん、喜多さん、橋本さん、岩下さん、個人連では、昨年の福知山マラソンの覇者の行場さん、今年の笹山マラソンの覇者の今木さん、京都大学の西原君、立命館大学の陸上同好会の皆様をはじめ、ここにはまだまだ書ききれませんが、本当にたくさんの方々に伴走していただいています。私の今の走力は皆様でつくっていただきました。私にかかわっていただいたすべての皆様で勝ち取ったパラリンピックの銅メダルだと思っています。ありがとうございました。

 更には、日本チームスタッフの皆様、日本盲人マラソン協会の安田コーチをはじめ、たくさんのスタッフの皆様に支えられ、私は、ロンドンで誰も想像ができなかったほどの快走ができたと思っています。ありがとうございました。

 ロンドンまで遠いのにもかかわらず、現地まで応援に駆けつけてくれた仲間、日本からたくさんご声援いただいた皆様にも大変感謝しています。大変力になりました。ありがとうございました。

 そして、普段の生活では、私は仕事とトレーニングをしていましたら、家事などをする時間的・体力的な余裕がありませんが、それをすべて担ってくれ、私の栄養管理もしっかりしてくれ、朝連や疲労抜きのジョックをしてくれている妻と、マラソンに向いた性格、粘り強い精神力と強い心の持ち主に生み育ててくれた両親に対して、敬意と感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。

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<いつもの練習風景 仲間の応援が心強い>

5 今後の目標・夢

 今後の目標について、陸上は2013年にフランスのリオンでIPC陸上競技世界選手権大会が、2014年に韓国のインチョンでアジアパラゲームズがあります。
毎年目標となる大会があり、また日本代表選手として走らせていただけますよう、年々トレーニングを計画的に行い、走力を強化していきたいと考えています。
5000mのスピードを更に強化し、それをマラソンのタイム向上につなげ、2016年リオデジャネイロ・パラリンピック大会でも、世界の強いライバル選手たちと対等に闘わせていただけますよう、日々精進してまいります。

 さらには、2020年大会までは現役でタイム向上を目指してがんばれると考えていますので、がんがん走っていたいと思っています。自分の可能性を信じて、連続して夢の大舞台に立たせていただけますよう、がんばっていきたいと思います。

 そして、パラリンピックを目指せなくなった後も、たくさんの仲間とともにずっと走り続けていきたいと思っています。いつまでも永遠に走っていたいというのが私の夢です。ランニングを通じたいろんな出会いは、私の人生を充実させてくれ、今となっては、ランニングは私にとってなくてはならない存在となっています。私は、網膜色素変性症により、20歳すぎで視力を失いましたが、ランニングとの出会いが私の人生の転機となりました。これまでもランニングは、いろんな宝物を私にたくさんくれています。これからもどんな出会いが、未来が待っているのか楽しみです。

 体を動かすことは大変気持ちのよいことだと思います。より多くの方々が走り始めて、たくさんの方々とランニングを楽しんでいきたいです。私のランを通じて、たくさんの皆様に元気や勇気を送ることができるならば、それは大変うれしいことですし、一緒に走ってみよう、何かできることから始めてみようと思われる方が、ブラインドの方もパートナーの方も、ひとりでもそう思っていただける方がいらっしゃれば、そんなにうれしいことはありません。それぞれ、いろんな過去を生きてこられ、それが今、ランニングを通じて様々につながりあって、今から未来へ皆様と一緒に歩んでいけたらいいなと思います。

 最後に、ロンドンオリンピック・パラリンピックのNHKのテーマソング、「風が吹いている」は私のお気に入りの曲となっていますが、私の最も好きなフレーズを紹介したいと思います。

「たくされた今がある 歩むべき道がある
 始まりの続きを生きている
 この胸の中に絆はあるんだよ ずっと ずっと…」

 まだまだ始まったばかり、その続きをずっと皆様と一緒に元気に生きていきたいと思っています。これからも「わだっち」をどうぞよろしくお願いいたします!!