はなのぼう 2008年09月20日号
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 いま、盲学校ではない一般の学校に通う視覚障害児が増えています。弱視の児童・生徒数は1739人(2005年調査)で、盲学校に556人、弱視学級を合わせて全体で約2400人、あるいはもっと多いと推測されています。ところが、全盲で点字の必要な児童・生徒については、実数すら把握されていません。

 文部科学省で分かっているのは、点字教科用図書の申請がなされた数などによるものだけで、視力低下などで点字教科書が必要となってきたのに提供されていない児童・生徒も相当数いるのではないかと思われます。

 3年前まで、文科省は建前として、一般校に弱視学級はあっても「点字を必要とするような児童・生徒は盲学校以外にいない」としてきました。実際には、30年以上も前から一般校にも点字による教育を必要とする児童・生徒が実在し、親や周囲のボランティア団体をはじめ多くの方々の必死の思いの中で教育が続けられていました。特に京都や大阪などでは、全国に先駆けて多くの統合教育の実践が行われていました。

 それが、特別支援教育としての位置づけに変わる中で、通常学級に在籍する障害児童・生徒が公式に認められることとなりました。特に教科書すらないのは許されないこととして、いわゆる教科書バリアフリー法が提案され、議員立法としてこの6月に国会を通過し、9月17日に施行となりました。

 でも、拡大教科書についてはすでに「拡大教科書普及推進会議」が設けられワーキンググループで検討が進められているのに対し、点字教科書はそのような検討会すら設けられていませんでした。

 この9月5日、NPOの教科書点訳連絡会(教点連)が文科省と折衝を行い、ようやく点字教科用図書の「意見交換会」を行うことが実現することになりました。教点連は、実態調査を早急に行うこと、点字教科用図書の質の維持と向上、適切な経費の補償などを強く求めています。副読本等の補償も含め、すべての視覚障害児童・生徒が、それぞれに適合した教育を受けられることを目指していきたいと思っています。(加藤俊和)