はなのぼう 2008年05月20日号
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 もう一度 障害者実態調査について、今回は中身について特徴的な実態を紹介いたします。全体の数については少し問題はあるものの、その中の様々な割合を知るには貴重なデータです。

 さて、視覚障害者は他の障害者にもない、相当低い生活水準を余儀なくされていることが浮き彫りになっています。所得税非課税の方は61%にも達し、総収入についても月3万円以下が

回答者の14%もおられるなど、障害者の中でも際だっています。生活保護受給者は5.8%と他の障害者の倍近い数です。他の障害者も高齢化が進み、視覚障害だけが高齢化とは言えなくなってきたこと、一人暮らしは他の障害者では10%以下なのに、視覚障害者では15%にもなっていることなども注目されます。

 一方、就労者の割合は21%で他の障害とあまり変わりはないのですが、三療自営が3割でその収入については、回答した方の3分の1もが月7万円以下という低さです。三療で自営といっても収入は相当低く、特に中途で視覚障害となって職を失い、相当低い生活を余儀なくされて、家庭が崩壊している例も少なくないと予想されています。

 なお、外出については、肢体不自由者の32%がほぼ毎日外出するのに比べ、視覚障害者は29%と低く、月2〜3回しか出かけない人が22%もおられ、中途視覚障害が増えていることも影響しているとみられます。

 ところで、情報関係では、パソコン利用が12%で障害者の中で最も低く、画面が見えず、キーも覚えなければならない困難さが現れています。デイジー機器については、日常生活用具利用と

自費購入を合わせても10%で、2006年の調査とはいえ、かなり低い数字でした。なお、テレビを見ている人が66%で、ラジオは49%という数字も注目されます。

 無味乾燥な「実態調査」ですが、いくつかの離れたデータを結びつけることで分かることも少なくありません。視覚障害者に何が必要かを考える資料としたいと思います。(加藤俊和)