はなのぼう 2007年8月号
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船岡寮に入っても、これまでと同じようにガイドヘルパーを利用したい、切実で素朴なお一人の願いに端を発して、「はなのぼう」の1月号でお伝えいたしましたように、船岡寮に入所されているみなさんが、昨年12月に京都市と折衝されました。

その後、4月頃に京都市は大筋で認めるという方向であることがわかりました。運用までには少し時間がかかりましたが、7月下旬に実際に移動支援事業を行う京視協ガイドヘルプステーションによって「利用のしおり」が点字やテープでも用意され、船岡寮の利用者への説明会が開催されました。

まず対象施設は、船岡寮に限定されました。入所施設全体となると、様々な問題があるので、視覚障害者が入所している船岡寮に限定されたものと思われます。

また、利用できるのは、京都市から「移動支援」について支給決定を受けている人で、実際に登録された利用者は10数人になったようです。いろいろな状況の方が入所しておられる盲人養護老人ホームとしては、結構希望者があったと言えるのかもしれません。

でも、よくよく聞いてみますと、「たまには外へ食べに行きたい」というご希望が大半のようでした。これまではボランティアに頼って利用されていましたが、ボランティアにも限界があってなかなか行けないことが背景にあります。

当然ながら「移動」を主とするガイドヘルパーの場合、ガイヘルの昼食は利用者負担ではありませんので、「利用者の食事への思い」とに微妙なずれもあるようでした。

ともあれ、これまでは認められていなかった「施設入所者のガイヘル利用」が、たとえ一部であっても京都市が認めたことは大きな意義があると言えるでしょう。

障害者自立支援法の地域生活支援事業としては、様々な運用が市町村に委ねられたので各地域で「違い」が大きくなってきています。でも、このような「要求の実現」の一つ一つの積み重ねは、地域格差というよりも、各地での実現の足がかりとなっていくことでしょう。