はなのぼう 2007年5月号
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去る2月8日に、京都市営地下鉄の駅への階段で視覚障害者がけがをされる事故がありました。早速友人の視覚障害者が要望書を出された結果、このたび5月8日付けでほぼ要望通り実施の回答がありました。
地下鉄今出川駅の4番出口は途中に10mほどの直線通路があり、その先に降りる階段がまっすぐに続いています。階段部には手すりがあるのですが、通路部にはなく手すりが見つかりにくいだけでなくその下はすぐ階段です。この方も手すりが見つからずに落ちてしまわれたのでした。
しかも、階段上部の点字ブロックはすり減っていて、「え、あそこに点字ブロックがあったの?」という視覚障害者が多くおられたほどでした。まっすぐに歩いたらそのまま階段からころげ落ちてしまう…怖い構造です。
そこで要望をまとめることになり、私も手伝わせていただいて、次の3項目にまとめました。

  1. 直線部の階段上部の点字ブロックは気づきやすいように2枚分(60cm)とし、「JIS規格点字ブロック」を設置すること。
  2. 階段部から階段部への直線部通路にも手すりを設置すること。
  3. てすりに取り付けられている点字表示が浮いていて、けがをしそうなところがいくつもあるので、取り替えること。なお、表示内容については適切な表示となるよう関連機関に相談してきめること。

京都府視覚障害者協会のご協力もいただいて要望書が提出されたあと、京都市営地下鉄の対応はよく今回の成果となりました。(なお「ホーム端の線付きブロック」を既設ホームに設置したのは京都市営地下鉄が全国でも先駆けです。)
事故直後から当事者自身が中心になって要望を的確にまとめ、必要な団体などの協力も得て迅速に行動し折衝していく、今回はこれらがきちんとほぼ完璧に実行されたすばらしい例だったと思います。
でも、まだ気づかれていない危険なところは数多くあります。今回の取り組みが「視覚障害者が安心して歩ける」街づくりのよい前例になることを願っています。