2011年2月20日(日)に、今回で3回目となる「医療関係者向け研修会」を開催し、眼科医・看護師・視能訓練士等19名の参加がありました。他府県の方も半数近く居られました。
 初めに4つのグループに分かれており、グループ毎にアイマスクをつけて自己紹介をしました。こうして、表情が見えないこと、聞こえる声が自分のグループの人かどうか分からないことなど分からないことがある中で、声の位置や語調から推測できることがあることを体験・理解していただきました。次に、少し緊張のほぐれたところで、二人ペアになって手引きの仕方を練習しました。

手引きの様子

そして、初めての試みとして、医療従事者・当事者・リハビリテーション指導員の三者がパネラーとなりパネルディスカッションを行いました。普段どのような思いでライトハウスへ患者さんを紹介しているのかなど舞鶴医療センターで視能訓練士をされている菅本敦子氏が話されました。経験する中で、ご自身ができるロービジョンケアとリハビリテーション指導員が行うべき視覚障害リハビリテーションとの違いやそれぞれの役割がわかるようになってきたということでした。当事者は、渡邉一夫氏が、医療現場でライトハウスを紹介されて福祉に繋がっていく経緯とその時の気持ちを話されました。リハビリテーション指導員として野﨑正和氏は、医療から繋がった患者さんが、どのようにリハビリテーションを受けられるのか、そこで習得したスキルを活かすことで、どんなふうに生活の質(QOL)が改善されていくのかなどについて話しました。3人のパネラーにより、福祉と医療の間で気軽に相談できる関係作りをすることが、患者さんのより充実した生活になるということを共通認識できる時間でした。

パネルディスカッションの様子

その後、昼食をアイマスクをつけて食事をすることや、アイマスクをしている人に食事の内容を説明することなどを体験しました。今回はこれまでのお弁当と違い、ライトハウスの厨房で調理された昼食を配膳して体験したため、病院での入院中の食事などをイメージしやすかったようです。また、美味しく・安心して食べるためには、的確な説明と楽しい雰囲気作りが大切であることを実感されました。

食事の説明の様子

午後からは、視覚障害リハビリテーションや福祉制度についての講義をまず行いました。リハビリ(歩行・点字・音声でのPC操作・調理・日常生活動作等)の実際を知っていただくと同時に、「視覚障害」という同じ仲間と出会うことでの心理的回復の重要性を伝えました。福祉制度では、医療関係者からみると苦手意識があるといわれている難しい内容を分かりやすく説明することで、身体障害者手帳を取得する意味と効果を理解していただきました。最後に、グループに毎に交流会を行いました。ここでは、1日の研修を振りかえるとともに、日々の業務で悩まれていること・感じていること(「気になる患者さんはいるけれど、どう声をかけていいのか分からない。」「地域で患者さんについて相談できる福祉機関が分からない。」「ロービジョンのグッズは病院にあるけど、誰にも活用できていないことが気になっている」など)の意見を交換しました。

交流会の様子

参加された方々は、どの講義でもとても熱心に耳を傾けられていました。見えない・見えにくい人へよりよい支援を行いたいという気持ちは誰もが同じであり、日々の現場で迷い悩まれていることを話しあうよい機会になったと思います。
研修会が終了してから、医療機関からの問い合わせや相談が多数あっています。反響があることで、医療と福祉がつながるきっかけを作ることができ研修の成果を感じています。

本年も、京都市と京都府眼科医会からの後援をいただき開催しました。

※視能訓練士:眼科で医師の指示のもとに視機能検査を行う専門職で国家資格。