最近よく耳にするようになった副音声の語りに似た自然描写です。視覚障害者や聴覚障害者が映画やテレビ放映を楽しむためには、出演者の動きや場面の詳細な説明を台詞などと重ならないように配慮して、視覚障害者には副音声解説、聴覚障害者には字幕解説を加えて情報のバリアフリー化が行われるようになってきました。今、情報の世界は音声や文字、画像や写真、そしてデジタル機器の活用による高度で多種類の情報発信が行われています。「情報障害」と言われる視覚障害者にとって、これからの社会が誰にもごく普通に利用できる情報であるために、最新の技術が駆使されたとしてもそれを利用できないようではまた新たな「情報格差」を生じかねません。現在進行中のカセットからデジタル(デイジー)化への動きや地デジ放送への切り替えの問題は正にアナログからデジタルへの大きな変化と言えましょう。

 こうした中で、来年・2009年には、視覚障害者にとっての文字=点字の発明者フランスのルイ ブライユ生誕200年を迎えます。点字図書館、点字出版から事業を開始した京都ライトハウスの歴史を思う時、「情報障害」を無くす取り組みが本法人に課せられた最大の課題であることを実感します。3年後の2011(平成23)年に迫った京都ライトハウス創立50周年記念、今年は6月27日のその日に、現在働く職員に過去の歩みを語り継ぐ大切な1日とする企画を開始し、先人の英知と施設創設に込められた願いや思いを皆で共有していくための貴重な1日となりました。