10月からの自立支援法が本格施行され、従来の制度がいろいろと変わります。

点字図書については従来通りに扱ってほしいと全国の市町村や関係方面に働きかけています。
以下の文書は全国の出版施設が全国の市町村に出したお願いです。ご参考にしていただきますようにお願いします。


平成18年8月1日

福祉事務所長殿

日本盲人社会福祉施設協議会
理事長 本間昭雄
点字出版部会長 高橋秀治

「点字図書給付事業」についてのお願い

いつも視覚障害者福祉にご協力・ご尽力くださりありがとうございます。

本年4月から「障害者自立支援法」が施行されていますが、その中の「点字図書給付事業」は10月以降、各自治体に運用が移行されます。それに伴い、その取扱いについて検討されていることと存じます。

この「点字図書給付事業」は、高価格にならざるを得ない点字図書を、視覚障害者が一般の活字図書と同価格で購入できる事業として始まりました。したがって、当初は「日常生活用具給付事業」とは別の制度でした。それが日常生活用具給付事業の一部に組み込まれ、それに伴って手続きが複雑化してきたという経緯があります。視覚障害者並びに我々関係団体は、制度運用の簡素化を求め続けてきました。

この制度は点字図書と一般の活字図書の価格差を補償する事業であり、所得の証明を必要とする「日常生活用具給付事業」とは性格を異にしています。

貴自治体におかれましては、10月以降もこれまでの厚生労働省の「点字図書給付事業実施要綱」に沿った形で本事業をお取り扱いいただきますようお願い申し上げます。


また可能であれば、次のような実施方法もご検討いただければ幸甚でございます。

  1. 点字図書給付の登録を受けようとする者は、点字図書給付台帳への登録を当該地の市町村に申請する。
  2. 申請者は、点字図書出版施設(以下「出版施設」)に電話等で、希望する点字図書の「点字図書発行証明書」(以下「証明書」)の発行を依頼する。
  3. 出版施設は、前項による依頼を受けたときは、市町村長に対し証明書を発行する。
  4. 市町村長は、前項による証明書を受理したときは、登録の確認及び証明書の内容を申請者へ電話等で確認のうえ、必要事項を台帳に記載し、証明印を押印のうえ、証明書を出版施設に送付する。
  5. 申請者は、自己負担額(証明書に記載された一般図書の購入相当額)を添えて出版施設に申し込み、点字図書の給付を受ける。
  6. 市町村長は、出版施設からの請求に基づき、台帳と確認のうえ、公費負担分(点字図書から自己負担額を控除した額)を出版施設に支払う。

視覚障害者の基本的人権を保障するものとして、永年にわたる視覚障害者からの強い要望により実現した画期的な制度である「点字図書給付事業」を、従来施行されてきた取扱いに近い方法で、できることならより簡素化する方向で継続してくださいますよう、重ねて要望いたします。