点字と私 発行 京都ライトハウス鳥居寮 協力 京都ライトハウス点字普及委員会 点字の魅力=「自由に読み書きできる喜び」「人と人をつなぐ架橋」  皆さん、こんにちは。この度、点字に向き合う皆さんの生の声がぎゅっと詰まった冊子をお届けします。子どもの頃から見えない方だけでなく、人生半ばで病気や事故により失明する方も多くおられます。自身と葛藤しながら、それでも文字を手に入れようと必死の思いで点字に向き合っている鳥居寮利用者の皆さん、そっと寄り添いながら支えてくださっているボランティアの皆さんの声を1冊にまとめました。多くの方のお手元に届きましたら幸いです。  洗濯機などの電化製品や街中で目にする点字。点字には大きく二つの「魅力」があります。  一つは、目の見えない人・見えにくい人が自由に読み書きできることです。日本の点字の考案は約130年前、明治23年です。それまでは自由に自分で読み書きできる文字がありませんでした。皆さんは「文字のない世界」を想像できますか。点字は六つの点の組み合わせで、アルファベットや楽譜も表せます。点字があることで、本を読み、メモを取り、選挙の時には投票もできるのです。  もう一つの魅力は、目の見える人と見えない・見えにくい人との《架橋》だということです。見えない・見えにくい人が点字を通して発信し、目の見える人が点字を一つのきっかけとして、見えない・見えにくい人たちのことを知る機会になると考えます。  この冊子から、ぜひお一人お一人の思いをゆっくりと感じ取ってください。点字と向き合うことの難しさとともに、文字を読める喜び、人の笑顔に出会える喜びが伝わってくることと思います。  京都ライトハウスは今年創立60周年の節目の年を迎えました。ライトハウスとは「灯台」の意味です。さらに光を高く掲げ、遠くまで届けたいと思っております。そのためには、点字のこと、目の見えない・見えにくい人や、その人たちを支えるボランティアの皆さんのことを、より多くの方に知っていただくことが大変重要です。この冊子を読んで感じられたことを周囲の方にもお知らせいただけましたら幸いです。 京都ライトハウス情報ステーション 野々村 好三   目次 はじめに 利用者の声 第1章 さらなる一歩へ 第2章 感謝のひととき 第3章 暮らしの中の点字 第4章 本が読める幸せ ボランティアさんの声 先輩からのエール おわりに   はじめに  2021年度の取り組みのまとめとして、点字訓練にご参加の利用者の皆様と、点字訓練を支えていただいているボランティアの皆様にアンケートをお願いしました。普段感じておられる思いや、今後の目標、おもしろエピソードなども交えてコメントを寄せていただきました。「点字と私」と題し、ここに点字と向き合い、挑戦する人たちの思いを共有します。   第1章 さらなる一歩へ 点字スキルを仕事や活動で発揮したい 点字歴5か月 50代   私は拡大すればどうにか文字は読める程度の見え方です。長文の読みと分かち書きに挑戦しています。鳥居寮の先生に勧められ点字をはじめました。点の数が多い文字が続けて書かれている時、読み取るのが難しいです。スムーズに読み進められた時はうれしいです。 表をあほーと読んだり、オムライスをおつライスと読んだり、思わず笑ってしまう読み間違いもありました。ボランティアさんは読みに詰まってもじっと待っていてくださり、読むのが嫌にならないよう引っ張って下さり感謝です。点字スキルを仕事や自身の社会活動の中で必ず活かしていきたいです。 すごい すごい さらにすごい 点字のある暮らしに乾杯 70代 点字歴9年   私にはもう墨字は見えません。先生、いつもおもろい点字訓練、ありがとうございます。ボランティアさん、いつも根気よくお付き合いくださり、ありがとうございます。そもそも、鳥居寮で訓練を受けるまで点字を見たことも触ったこともありませんでした。ポツポツを指で触って読むという位の知識しかありませんでした。ポツポツで文字ってどう書いてあるんやろう?そんなポツポツを触って読めるなんて、目の不自由な人ってすごい!私にも読めるんやろうか?などなど、すごく点字に興味がありました。いざ、はじめて点字に触れてみて、さらにすごいすごいと感動しました。6点で50音や記号などすべてを表せるなんてすごい!日本語点字を考案した人はすごい!ますます興味がわき、点字にのめり込んでいきました。マスあけのルールは難しいですね。人名が出てきたときなどは、どんな漢字なんだろうかと気になります。晴眼者の友人に「点字で本を読んでいる」と言ったら、「すごい!あんなん読めるなんて尊敬するわ。」とすごく褒められてうれしかったです。読書はもちろんですが、私にとって今後の課題は、どのように記録やメモを残していくかということです。今、訓練でブレイルメモを特訓中です。これを活用してさらに点字のある暮らしを充実させていきたいです。 点字から心のバリアフリーを 60代 全盲 点字歴10か月   長文を読んだり、分かち書きを学んだり、最近ブレールメモをはじめました。そもそも点字をやろうと思ったのは全盲になったからです。漢字が無いせいでしょうか、抑揚がまったくないところが難しいです。とは言うものの、だんだん読み進められ様になり、嬉しいです。にゃ、にゅ、にょ、りゃ、りゅ、りょ、ほとんどの特殊文字をよく読み間違えます。にゃんこちゃんがきゃんこちゃんになったり。全ての女性のボランティアさんは彼女にしてみたいし、全ての男性のボランティアさんとは飲みに行きたいです。皆さんお優しいし、なによりも明るくておもしろいです。それくらい点字訓練でのフィーリングがばっちりです。点字にもモールス信号のような音を割り当て、晴眼者や、スローライフの方や、耳の付従な方々、障害に関係なく、算数のくくの用に、すべての方々が学べればそれぞれの立場から起きる偏見や壁がきっと和らぐと考えます。点字を通して心のバリアフリーが広がるといいなあと思います。 これからも点字を読んでいきたい 50代 全盲 点字歴10か月   私は大きいサイズの点字を読んでいます。基本文字のテキストは読み終えました。同じ寮の方が点字をやっていると聞いて自分もやってみたくなりました。文字と文字が引っ付いているところと、文の終わりのところを読むのが難しいです。でも、ちょっとずつ読めるようになってきました。それがうれしいです。でも、まだ「た」と「こ」を逆に読んでしまったりします。洛西寮に市民新聞があると聞いたので、 いつか読めるようになったら嬉しいです。OBボランティアさんへ、これからも困っている人達に点字を教えてあげて下さい。私もずっと点字を読んでいきます。 学び楽しや 点字の時間 70代 点字歴6か月  私の視野は狭いのですが、文字は拡大なしで読めます。視野の狭窄が進み、障がい者手帳の級が上がりました。今のうちにできる事をやろうと思いました。見えなくなった時に文字が読めないのは悲しいと思い、点字を習おうと決めました。70歳から始めた点字、先行きはあまり期待できませんが、簡単な文字を読めるようになりたいです。 点字をやっていて難しいと感じることはたくさんあります。 指先の感覚がとても鈍く、触っていても何が何だか分からなくなります。特に文の最初に出てくる文字を紐解くのに時間がかかります。頭でわかっている点の配置を、なぜか違う音で言ってしまうことがあります。例えば、「は」を「ひ」、「た」を「と」など、いっぱいあります。つまり、指先と脳の文字の変換が上手くできないのです。ちゃんと文字の形が覚えきれていないこともあります。一度指を離すと、どこに指を戻すのか分からなくなります。そのうえ、行頭に行末から帰る時に指が斜めになり、下の行にいってしまいます。指がいつも斜めになり、行を上がっていってしまいます。集中しないとパニックが起きそうになります。つまり、全く分からない、真っ白になります。 そうは言っても、単語から短文にパラグラムにと進んでいます。1冊目の基本のテキストが終わった時は、本当に嬉しかったです。「やったー」という達成感を久しぶりに感じました。シンプルに指で触って文字が分かる時が嬉しいです。2冊目が終わりL点字から小さい文字になりました。ステップアップ、頑張ってやっていきます。 私は、「あ」が分かるとそれから連想しようとする癖があるらしく、単語で「赤い」とかわかると勝手に自分の都合のいい言葉をつなごうとします。そのため、変なことをいっぱい言ってきました。語尾も予想して、変な事を言っています。家で読んでいたら、「タンゴがいっぱい?丹後がいっぱい?何の事?」と思ったのですが、よく考えると 「単語がいっぱい」だったんです。また。「火事のある?何のこと?」どう続くのかと迷ったけれど、「数のある」が正解だったんです。こんな間違いがしょっちゅうで、早く正確に読めるようになりたいです。おかしなよみまちがいや思い込みも一緒に笑って、教えてくださった先生に感謝です。1限の授業の中で僅か数行しか読めないですが、本当に根気よくじっと待って付き合って下さりありがとうございます。詰まって進めない時にはポイントを押さえたアドバイスを下さり、助けられました。ボランティアの方々には 頭が下がります。待つ力は人を育てる力だと改めて実感しました。公共施設やレストランなどに表記されている簡単な点字を自分で読み、分かるようになりたいです。できれば、点字初心者の方の読み合わせのお相手をできるくらいになりたいです。 待ってろよ!俺の神の左手人差し指 40代 全盲 点字歴1年11か月  私はいろいろな印刷物、いろんな文体の文章を読んでいます。定規・点字板で書いたり、テープやシールを目印に活用しています。私が点字をはじめた理由は、「読めたほうが今後のためになるかな」という、実に単純なものでした。難しいのは「分かち書きの法則」ですね。マスあけをいまだによく逃すし、間違えてしまいます。あと、あまり使わない特殊音、記号、メールアドレスが出てくると、つまづいてしまいます。嬉しいことはじんわりとあります。手前味噌かもしれませんが、習っていくうちに日に日に習得してきているという実感がありますね。あと、先生方、ボランティアの方から、「最初あんなに苦労してたのに、どんどん上達してきてるね」って、言葉をかけていただいたこと、これもうれしいですね。点字おもしろエピソード、ありますよ。習い始めの頃、点字テキストを上下さかさまで読もうとしたんです。そりゃあ、読みたくても読めませんよね(笑)。それから、いまだに、「と」と、「そ」を、よく読み間違えてしまいます。外字符、大文字符が付いてないのがたまに出てくると、一瞬、「?」って、とまどうことがありますね。あとは、点字器で書いててよく行の迷子になり、重ね書きしたりとか、1行飛ばしたりとかしますね。ボランティアさんへ、いつも私たち利用者のために無償でお付き合いいただきまして、ありがとうございます。優しく褒めてくださる方もいる。厳しく指摘してくださる方もいる。暖かな手厚い寵愛をいただきながら、日々楽しく訓練させていただいております。これからも、今後のさらなる私の進化を、どうぞ最後まで見届けてくださいね(笑)。今後、訓練で学び得たスキルを、十分に発揮していきたいと思っています。今、具体的にどう活用していけばいいのかは模索中なんですけど、今後点字を習得されたい方々の、なにかお手伝いができたらなと思っています。私事では、点字本や、点字毎日を、すらすらと触読できるような、「神の左手の人差し指(盛りすぎ?(笑)」というところまでたどり着けたらいいかなあと思っております。残念なのは、ブレイルメモが、市の日常生活用具給付対象外のために、不完全燃焼で終わったことですね。でも、6点入力を習得することができたので、活用していく幅が増えました。訓練を離れると、どうしても携わる機会が減り、劣化していくと思うんで、そうならないように、毎日少しずつでも点字に触れていたいと思っています。 第2章 感謝のひととき うれし たのし 感謝のひととき 70代 弱視 点字歴1年5か月  ただただ、皆さんの訓練、この教え方にすごく感謝しております。何もわからなかったものが一つ一つわかるようになり、大変感謝しております。毎日訓練に行くのが楽しみです。またボランティアさんにもいろいろと教えていただき、本当に感謝しております。点字への思いを川柳にしてみました。 楽しみを 待つバス乗り場 訓練日 見えなくなっても点字があれば 40代 全盲 点字歴4年2カ月    私は文字はもう読めません。左の片隅で光を感じるぐらいと、微かに何かが動いているのが分かる程度です。最初は白杖の訓練だけを受けるつもりでした。点字やパソコンの訓練があると聞き、興味を持ちました。いつかは見えなくなると聞いていたので、見えるうちに点字を覚えておこうと訓練をはじめました。私は読んでいてわからない文字があると、そこで止まってしまいます。ひっかかってとまっていると、内容がわからなくなるときがあります。すらすらと読めて、内容が入って来るとうれしいです。間違いなく点字が書けたときもうれしいです。文末の「だった」を「だちゃ」と読んでしまった時、顔から火が出るくらい恥ずかしかったです。ボランティアさんの中にはやさしい方もいれば、厳しい方もおられます。熱心に何度もちゃんとわかりやすく伝えて下さいました。私のことを考えてくださって、一所懸命なのが伝わってきてうれしかったです。私は点字盤とテープを使っています。自分なりに見えなくてもわかりやすくできるよう、生活のいろいろな場面で点字を使っていきたいです。 これからの私を応援 点字を支えに 40代 弱視 点字歴7か月  鳥居寮にきてこれからの知識として点字が必要かなと感じました。点の大きさだったり、空白だったり、似た形があると難しいです。短い文章が読めたり、生活の中で身近なエレベーターなどの点字が読めるようになってうれしいです。ちょっと読めたらほめていただけます。すると、読めない日でもやる気が出ます。これから見えにくくなった時に少しずつ点字を活用できるよう慣れていきたいです。これからも「やる気の出る応援」よろしくお願いします。 墨字と点字 同じように読めるように 70代 弱視 点字歴9か月  視野が少しずつ悪くなってきて心配になり、点字をおぼえようと考えました。類似した形の字が多くてまちがえやすく、むずかしいです。 少しずつ解ってくるのが嬉しいです。ボランティアさん、いつも丁寧に教えていただいてありがとうございます。お手紙のように自然に読めるようになりたいです。 第3章 暮らしの中の点字 点字の目印を活用していきたい 60代 点字歴2年  私は拡大しても文字を読むのが困難です。普通サイズで短文を読んでいます。基本文字の書きを練習しています。 ライトハウスに通い始めて点字はとても必要なものだと思いました。 点字を覚えるのはとても難しいです。でも、少し読めるようになると内容が分かり嬉しくなります。 内容の読み違いなど、なぜこんな読み方をするのかとおかしくなってしまいます。点字は読むための姿勢が大事です。姿勢が崩れるとこんなに読み違えてしまうのかとおかしくなったり、悲しくなったりします。先生、ボランティアさん、本当に、本当に忍耐強く、私たちを見守って下さり、ありがとうございます。今後の生活の中で不自由なことはたくさん出てくると思います。でも、点字の目印などを活用し、どうにか普通に暮らしていきたいです。 これからの備えとしての点字 20代 点字歴10か月    私は普通文字を拡大せずに読めます。進行性の疾患のため、今後の為にも点字が読めるようになりたいと思い始めました。書きでは、分かち書きのルールが文法を意識するため、難しく感じます。少しずつ読めるようになっていることを実感したり、商品などについている点字が読めたときはうれしいです。書く時、「っ」を誤って、全て濁点として書いてしまったことがあります。本を読んだり、エレベーターに乗った時など、身近なものから点字を活かしていきたいと思います。 読み速度 これからもキープしたい 30代 点字歴5年  私は拡大すれば文字が読めます。点字板を使っています。高校から盲学校へ入学したので、その時に点字を知りました。1時間で20ページ読めるようになり、うれしかったです。今後の目標は点字のスキルを維持していくことです。 外出を支える点字 40代 点字歴6か月   私は拡大で文字が読めます。点字は大きいサイズを読んでいます。自分が日常生活を送る上で、移動する際や、案内板の表記、エレベーター等のボタンの確認を出来る様になるために始めました。点字を記憶するのは比較的出来ているのですが、肝心の指で読み上げる作業がとても難しいです。実際にエレベーターに乗った際に点字を読めた時、うれしかったです。これからも外出先で色んな物の点字表記を読める様になりたいです。 点字、新たな文字を活用して 60代 点字歴6か月   私は拡大したら文字を読むことができます。今は大きいサイズの点字を読んでいます。情報入手のために点字をはじめました。私の場合、指先で感じる点の大きさ、感覚が日によって変わるので、点字を読み取るのが難しいです。点字をやっていてうれしいと思うことは、新たな文字を得られることです。な行、は行とま行が混乱します。今後は、電化製品や駅で点字を活用していきたいです。 点字に挑戦、もう大変!いつか目印活用を 50代 点字歴1年6か月  私は拡大したら文字が読めます。大きいサイズで読んでいます。最近、携帯定規での書きを始めました。公益社団法人京都府視覚障害者協会の相談員さんから京都アスニーで点字講習会があるから行きませんかとお声をかけていただき、参加しました。参加するまでは楽しみでした。いざ、点字に挑戦、もう大変です。点字は指で読む事 六点を指で捉える事 指の感覚などすべてにおいて難解です。毎日触れる事が大切なんです。まだ、点字をやっていて「うれしい」と感じられるところまでたどり着いていません。ボランティアさんへ、いつも、寄り添っていただきありがとうございます。今後は家の中の家電とか調味料にシールを貼り、目印として活用していきたいです。 第4章 本が読める幸せ 点字で読める幸せ 読書を楽しみたい 40代 点字歴1年10か月  私は拡大すれば文字が読める程度の弱視です。長文の読みと分かち書きをやっています。文字がルーペなしで読めなくなったので点字をはじめました。文字を眼ではなく、指で読み取るのって難しいですね。だんだん読むスピードが速くなってきました。ガッツポーズ、うれしいです。読む時、書く時、左右が逆になって意味不明な文字になることがあります。すると想定外の言葉が出てきて、思わず笑えます。点字の習得はボランティアさんの存在があってこそです。本当に感謝しています。今後、点字での読書を楽しんでいきたいです。 いつか好きな本が読みたい 30代、全盲 点字歴15年  私は大きいサイズの点字をメインに読んでいます。書きはパーキンスでタイピングしています。小学校3年か4年の時の授業で点字を知りました。今でも「手と心で読む」という本を覚えています。触読を習うようになったのは中学校からです。ヤ行など特殊なのが苦手です。 読めたときはうれしいです。いつか好きな本、「たんたんの冒険」とかを読みたいです。 点字で読書は快適に!眼も肩もしんどくない 10代 点字歴5年5か月  私は弱視で拡大して文字を読んでいます。 学生の時に少し点字に触れたことはありますが、そこまでしっかりやったことがなかったので、もっと深く点字に関わりたいと思い、点字の訓練をすることに決めました。字を読むことはあまり難しいと思わないのですが、点字を書くのが苦手です。マス開けの法則を覚えたり、打つ文字を間違えたりします。文字を読むときに、目や肩が疲れなくてすらすら読めるのが嬉しいです。ボランティアさん、いつもありがとうございます。点字をもっと読めるようになって、点字の本と墨字の本が両方読めるようになりたいです。 いつか点字で読書を 50代全盲 点字歴1か月  視力が低下して文字が読めなくなったので点字をはじめました。大きいサイズで点字の50音を学んでいます。点の位置を捉えることが難しいですね。単語や短文が読めたとき、うれしい気持ちになります。いつか本が読みたいです。 ボランティアの声 学びの場に幸せホルモン 全盲 60代 OBボランティア ボランティア歴10年  点字を学んでいた頃のことを振り返ります。視力を失って活字に飢えて居た当時、点字だけが頼りでしたので、苦しみながら楽しく意欲をもって学ばせていただきました。鳥居寮での明るくて無理のない進め方が良かったのだと思っています。そして、当時は 盲学校出身の若い方もおられて、その触読の確実さや速さに惹かれました。良く読めて引っ張っていただく方が存在することと、相談できる方や一緒に難しいなとぼやける仲間がいたことが良かったです。やはり、楽しいことを基本に置きながら習得しようという・・、習得してもらおうという指導者やボランティアの存在などを想うと、鳥居寮は学びの場だと思います。適度な緊張感のもとに、熱心な先生とボランティア、そしてぼやける仲間に恵まれることが最高ですね。以前の生徒さんに五木寛之さんの本を読みたい女性がおられて、ご一緒させてもらいました。私の読書範囲を広げていただく良い経験となりました。また、先生が出してくださる読み物に出会えてご一緒に少しずつ読み進めていけることが幸せでした。一人で読むのではなくて、ご一緒にという点が心満ちる時間となります。自分からなかなか本の発掘が出来ないものですから、訓練で使用される読み物のテキストが楽しみです。  訓練の中で難しいと感じることは、どの段階で答えを言ったらいいかということです。もう少し待とうか‥このあたりで示そうかといつも迷います。その結果、あまり待ちすぎて生徒さんが点字を嫌がるようになってはいけない、本当は長く待ちたいところでもアドバイスをすることがあります。早くに助けを出してしまうと勉強にならないのではないかと迷いながらも楽しくご一緒しています。  指で読んだ 点字の内容は、ずっと体に染みます。それが点字の魅力です。また読んでいるときに充実感を感じます。そして、幸せホルモンが出て来ます! これからも自分の体力と相談しながら、細く長くボランティアを続けていきたいです。 一緒に迷いながらリラックスしながら訓練を 晴眼者 70代 ボランティア歴13年  点字を学ぼうと思ったきっかけは、PCの文字入力の時に利用者さんからきいた一言でした。点字で「がっこう」は「がっこー」と書くのだと。それをきっかけに点字に興味を持ちました。点字の読みの訓練の中で、同じ教本を2~3人で順に読んでいくときがありました。私に出来るのかと思いながらも、訓練生さんに助けられながら、1~2ヶ月を終えることができました。それがボランティアをしようと思ったきっかけです。以来、毎回楽しく訓練させていただいています。なかなか読めない点字ですが、読めたときの利用者さんの笑顔が見られたとき、楽しい気持ちになります。読めなくて迷っておられる時の説明は難しいです。でも、読めない点字をいかに読めるようになるか。まるでクイズをしているような面白さもあります。利用者さんに点字を覚えてもらいたい、読めるようになってほしいと強く思いますが、点字を使う方の主体性が一番大事だと感じます。また、あまりにも読めなくて途中で嫌になる方もおられます。点字とは離れたお話をし、少しリラックスし、点字に興味を持っていただくようにすることも必要なのかなと思っています。毎回、これでいいのかなあと迷いながらですが、これからも点字訓練にご一緒していきたいです。 点字とともに、光を感じて 晴眼者 50代 ボランティア歴7年  点訳経験あり  点をどうやって文字として認識するの、不思議だなあ、点字そのものへの興味をきっかけに点字を学ぶことにしました。訓練を開始された頃の利用者さんは不安や緊張から硬い表情をされています。けれど、訓練を重ねるうちに自信がみなぎり、さらなる向上心を持って明るい表情へと変わっていかれます。そうしたプロセスにご一緒する中で、「ボランティアさん」ではなく、名前を憶えてもらったり、久しぶりに担当した方が、以前より格段に点字のスキルが上達していた時、うれしくなります。読み方、分かち書きなどを説明することはできても、触読するにあたっての感覚的なコツのようなものを、適切に、具体的にアドバイスすることは難しいです。つぶつぶがまさに「文字」そのもの、それが点字、改めてすごいことですよね。点字を懸命に、確実に習得していかれる利用者さんにいつも尊敬の念を感じております。真剣に取り組む姿を間近で拝見でき、こちらも励みになります。せっかくご縁ができたのに訓練期間が終了すると、関りがなくなってしまうのが残念です。訓練終了後も交流できる機会があればうれしいです。 前向きパワーに元気をもらって 晴眼者 ボランティア歴3年  点訳経験あり 子供が手を離れて自分の時間を持てるようになったので、点字か手話を学びたいと考えていました。たまたまお友達が点訳ボランティアをされていたのをきっかけに点字を学びました。訓練の時間が午後1時からで、お昼ご飯後のちょうど眠くなる時間。相手の方の手が止まり、気持ちよさそうな寝顔が、このままそっとしておきたいと思うこともあります。利用者さんがスムーズに点字を読まれた時はうれしくなります。一方、相手の方の手が止まり考え始めた時、その方の性格を考えてどうするのが一番いいのか悩みます。待つのがいいのか点の位置を言うのがいいのか、答えを言って次に進む方がいいのかと。点字の面白さは6つの点で全てを表せるところです。訓練を受ける方々の前向きさと元気さに、私がパワーをもらっています。これからもよろしくお願いします。 点字たのしや むずかしや、言葉と丁寧に向き合って 晴眼者 70代 ボランティア歴15年  点訳経験あり  図書館で勤務していた時、点字の手紙を読んでほしいと依頼され、片手間に訳しました。それが点字とのお付き合いのはじまりでした。高齢の方が、指先が痺れているんですと言いながらも懸命に点を拾っている姿が印象的でした。苦労してやっと読めた時の笑顔を拝見すると、こちらも笑顔になります。ボランティアをしていて難しいことは伝え方です。言葉一つで伝わり方が凄く変わります。私の常識が相手にとって非常識だったりと毎回難しく思います。一方、点字のおもしろさは言葉と丁寧に向き合えることです。 出来るところまでボランティアを続けていきたいです。 パソコンの6点入力は快く、指での触読を目標に 晴眼者 70代 ボランティア歴7年  点訳経験あり  退職後のボランティアを考えていました。読書が趣味なので点訳が適しているかなと思いました。ボランティアを始めたころ、とても早く読まれる利用者さんがおられて驚きました。想像していた訓練のイメージが一変しました。色々な方と出会えることが楽しいです。訓練の中で難しいと感じることは、1字1字読めても、文章として内容や意味を理解してもらえているのかが分かりにくいことです。たった6つの点で、日本語、アルファベット、数字、図など表せること、それが点字のおもしろさだと感じます。     パソコン点訳で使うのは6つのキーだけなので、キーボードを見なくても手早く打てるのが楽しいです。6点入力のブラインドタッチです。 訓練の時、目で点字を読みながら訓練生の方と同じように指を点字に当てているのですが読めません。利用者さんの大変さがよくわかります。私も指で読めるようになりたいと思っています。 笑いとともに点字とおつきあい 晴眼者 80代 ボランティア歴 10年  点訳経験あり   京都市の点字講習会の参加をきっかけにボランティアをはじめました。利用者さんが興味のある内容や経験のある内容を読まれる時、楽しそうにされます。そんな中、笑いが生まれます。こちらも楽しくなります。利用者さんがなかなか点字が読めない時、「すみません。すみません。」を連発された時は困りました。たった6点で文字が構成されている点字、おもしろいです。出来るところまでがんばってご一緒していきたいです。 読めると笑顔、自分のことのようにうれしくて 70代 点字歴10年  ガイドヘルパーをさせていただいた事がきっかけで点字をはじめました。「こんなぶつぶつ全然読めへん。先輩方は毎日触っていたらある時ふっと分かる時が来ると言われるけど、そんな時がいつ来るのやろう。肩はこるし、夢にまでみるし」とずっと言われていた方がおられました。その方がある日、明るい顔で、「ふっとが分かるようになったのよ」と言われ、努力されたことに感動しました。  色々な方が視覚障害という辛さ、苦しさを乗りこえ、指の感覚もまちまちな中、それぞれに一生懸命勉強されています。全く読めなかった点字が読めるようになり、そして楽しくなってきたと言われた時、私も自分の事のようにうれしいです。また、休み時間のちょっとしたおしゃべりも勉強になり、楽しい時間です。  点字は頭で分かっていても指で読めるまでには人それぞれかかる時間が違うようです。毎日少しずつでも点字をさわることをお伝えしていると早く読めるようになりたいと、気持ばかりあせって片や手に力が入り過ぎて読めず、私はどう頑張っても点字は出来ないのだとあきらめた方もおられます。もう少しなのにもったいないと思っても目で読んでいる私は、うまく声かけできずむずかしいです。  6つの点の組み合わせで出来ていて、前置点をつけることにより、数字、外国文字、などになるところが点字のおもしろさです。寝ながら本が読める、暗い所でも読める、絵本など晴眼者と一緒に読めます。駅や標識、そして電化製品などについているとわかりやすいですね。  視力が落ちてきて、辛く、不安な中、鳥居寮で勉強されている方には本当に頭が下がります。思いを共有できる仲間に出会え、不安も、孤独もやわらぎ、それぞれに頑張っておられます。そんな方達のお手伝いを微力ながらさせていただき、私の方が利用者さん達から頑張ることの大切さ、生きる元気・勇気・パワーをいただき、そして私も一緒に勉強させてもらいありがたく思っています。又、先生方が利用者さん達それぞれに寄り添った声かけや励まし方をされていて心が温かくなります。それが皆さんに伝わり、「通うのが楽しい」と言われるのでしょう。ほんの少ししかお役に立ててない私ですが、今後共よろしく御願い致します。 先輩からのエール 新しい文字を自分のものに  帰宅して郵便受けの中を確認すると封書が入っている。胸がときめく。封筒を破るようにして開く。このような経験をした方は多いのではないでしょうか。  文字はさまざまな思い出を作り、密やかにわたしたちの胸にしまってくれます。  一人暮らしのわたし、もう胸踊る手紙も来なくなりました。今は台所に携帯点字器を置き、冷蔵庫や冷凍庫に入れる物のなかみ・食べ方・賞味期限などをシールに書いています。  視覚の全部あるいは一部をなくした皆さん、あなた方にとっては新しい文字「点字」を自分の物にしてください。あなた方のよき理解者、あなた方のよき協力者であるボランティアのみなさんの力をどん欲に利用させていただいて頑張ってください。 おわりに この文集の作成にあたり、2021年度鳥居寮で8月、9月時点で点字訓練をご利用の皆様と、訓練を支えていただいたボランティアさんに点字アンケートを実施しました。アンケートには日常の訓練の中ではあえて語られることのない思い、静かな中にも情熱が、照れながらも光を求める姿がありました。点字を習得しようと奮闘する利用者さん、それを支えるボランティアさん、そのどちらの表情にも、難しさとうれしさが見えました。こうした思いを分かち合う中で明日への一歩が生まれていくことを、あらためて実感できました。利用者さんの年齢、ニーズ、生活環境は多様です。カラフルな点字への挑戦スタイルがそこにはあります。2021年の点字普及の取り組みとして京都ライトハウスのホームページに動画を公開予定です。文集と併せて動画をご視聴いただき、点字ってどんなところにあるの、どんなふうに学ぶの、ボランティアってどんな感じなの?と関心を持っていただければ何よりです。点字への思いを寄せていただいた皆様、動画撮影、文集へのご寄稿にご協力いただいた皆様、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。今後も点字を通して「見えなくても・見えにくくても大丈夫」につながる一歩にご支援ご協力を賜りますよう、どうかよろしくお願い申し上げます。 京都ライトハウス鳥居寮 石川 佳子 発行 京都ライトハウス鳥居寮 協力 京都ライトハウス点字普及委員会