ボランティアに頼り切った拡大教科書

はなのぼう 2006年8月号
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いま多くの視覚障害の子供たちが一般校に通っています。一般のクラスにそのまま入っているケースもあれば、「弱視学級」が設けられている学校もあります。そこでまず必要なのは拡大教科書です。

小中学校の教科書のうち基本教科の拡大教科書については、盲学校で使用されているのと同じ教科書各1種類だけはなんとか出版されているのですが、地区によって採択されている教科書が異なるうえ、もともと製作されていない音楽や保健体育、生活、技術家庭などの教科、それに副読本、さらには学内試験も、すべてがボランティアに頼りっきりなのです。

拡大教科書の作成は、文字を太く大きくするだけではなく、特に図表の処理が困難で1枚の図だけでも相当な時間がかかります。最近の教科書は図だらけですので、1冊を作るのに大変な時間と労力が必要なのです。

議員も含めた働きかけによって、人件費はおろか、印刷代にもほど遠いわずかな経費補償だけを文部科学省がようやくし始めたため、安易な依頼によって全国のボランティアの製作量をはるかに超える量となってしまいました。技術のあるボランティアがフル稼働していても拡大教科書の必要な生徒に行き渡らない事態となっています。また、手続きの事務量が大変で、「拡大教科書をお願いします。」と販売店に電話をかけるような安易な製作依頼も相次ぎ、ボランティアは疲れはてています。本来は公的な補償がなされなければならない弱視児童のための拡大教科書をボランティアまかせでよいはずはありません。

いま、一般校で教育を受けている点字使用の児童生徒のための点字教科書の依頼も増えつつあり、拡大教科書と同じような運命をたどろうとしています。この点字教科書のことについてもまた詳しくふれさせていただきますが、いずれにしても、教育の権利として守られているはずの教科書までがボランティアまかせでよいはずはありません。

その解決のためには、原本の出版社に拡大教科書も製作させるしかないとの取り組みが始まっていますが、中心的な取り組みをしてきた議員が落選したり、著作権の処理が難しかったり、拡大教科書に編集する技術や知識のある人が少なすぎたりと、様々な問題が山積しています。(加藤俊和)

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